漫画「アパレルドッグ」作者・林田もずる先生インタビュー! 〜tfac講演会を終えて〜 | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

漫画「アパレルドッグ」作者・林田もずる先生インタビュー! 〜tfac講演会を終えて〜

 

先日、2年アパレル技能科・アパレル造形科、1年アパレル基礎科を対象に、漫画家・林田もずる先生による講演会が行なわれました。

林田先生は、ファッションを題材とした漫画「アパレルドッグ」を雑誌「モーニング」で連載中。主人公・田中ソラトがMD(マーチャンダイザー)として、社運を賭けた一大プロジェクトに奮闘するストーリーが人気を博し、現在は単行本最新3巻が好評発売中です。(単行本4巻は2025年8月22日(金)発売)

漫画家に転身する以前は、約30年間アパレル企業でデザイナー&ディレクターを務めてこられた林田先生。アパレル時代のエピソードや現在のお仕事内容についてお話しいただきました。

 

 

さらに、講演後の林田先生に個別インタビューを実施!

tfac生に読んでほしい「アパレルドッグ」のシーンから、ファッション業界で働くうえで大切なことまで、存分に語っていただきました!

 

 

――今回は貴重なお話をありがとうございました。まずは、講演を終えてのご感想を教えてください。

 

林田先生:いや〜、緊張しました(笑)。アパレルで働いていた時代は、商品のディレクションについてプレゼンすることも多かったんですけど、自分自身の話ってしないじゃないですか。今ではもう、こんな大人数の前で話すこともないですし、自分の話となるとやっぱり緊張しますね。

 

――本学園にはどのような印象を持たれましたか?

 

林田先生:学生さんたちは皆さんオシャレですよね。パンクっぽい子からギャルっぽい子まで、いろんなファッションの学生さんがいて、壇上から眺めていて楽しかったですね。むしろ、講演している私の方がまじまじと見ちゃってました(笑)。校内の設備を見ていても、あらゆる面でデジタル化を感じます。あと、モデル科がある学校というのも珍しいですよね! ホームページも見させていただいたんですけど、モデル志望の学生さんを撮影しているシーンがあって「いいなあ、今っぽいなあ〜」って思いました。

 

――では、そんなtfac生に向けて「ファッション学生に読んでほしい『アパレルドッグ』の名シーン」を教えてください。

 

林田先生:う〜ん、いっぱいありすぎて迷いますね(笑)。

 

担当編集さん:「ファッションは魔法ですよ」(単行本1巻・第4話)とかいいんじゃないですか? 新卒の家入スバルちゃんって女の子のセリフなんですけど、ファッションが好きな学生さんたちはきっと共感できるはずですよ! 彼女はアパレル業界のことを全く知らない状態で入ってくるんですけど、読者の代わりに分からないことをなんでも聞いてくれるから、勉強にもなるんですよね。林田先生はいかがですか?

 

 

林田先生:やっぱり成功しているシーンがグッとくるんじゃないかな? たとえば「服に興味なかったお客さんが新作を買ってくれるシーン」(単行本3巻・第25話「プレデビュー」)とか。

彼女に連れられて、嫌々来店したお客さんが「俺は服いらないよ」なんて言うんですけど、主人公・ソラトは彼に試着を勧めるんですね。そしたら最終的に「これ、いただきます。こんなの初めて着ました」って、その服を気に入ってくれるんですよ。それに対してソラトが言った「光栄です」というのも印象的なセリフですね。

のちに、街中でソラトの前を偶然そのカップルが通りかかるんですけど、なんとあの服を着てくれているんです。きっと読んでいて嬉しくなるようなシーンだと思いますよ。

 

 

――「アパレルドッグ」は、仲間同士の和気あいあいとしたシーンも多いですよね。

 

林田先生:それでいうとソラトが、同期でデザイナーのキヨヒトを家に招くところ(単行本2巻・第9話「あんたと違って」)ですかね。服好きのソラトの家は「下北クローゼット」って呼ばれるくらい洋服だらけなんですけど、それを見ながら二人で嬉しそうにファッションの話をするんですよ。「あーでもない、こーでもない」と語るソラトとキヨヒトの、楽しさあふれるシーンですね。

 

 

ちなみに、ソラトが住んでいることもあって下北沢の背景はよく使っているんです。たとえば、2巻・第10話「ゾーン」の扉絵では、ソラトが「ミカン下北」の一角に座っていたりだとか。下北沢によく行く人は、そういう部分にも注目してくれると嬉しいですね!

 

 

あとは、モデルの一ノ瀬マコトっていう女の子と、スバルが二人でお買い物に出掛けるシーン(単行本3巻・第20話「買い物って楽しい」)。ファッションに無頓着なマコトに対して、「洋服ってこんなに楽しいんだよ!」って熱弁するスバルのシーンもオススメです。

 

 

――アパレル業界のことを全く知らない新人のスバルですが、実はSNSフォロワー1万人を抱える重要キャラであることも判明します。林田先生は、ファッション業界における昨今のSNS活用についてどう感じられますか?

 

林田先生:私が新人だった時代は、スマホはもちろんインターネットもなく、パソコンですら各部署に1台あるかないかという状況でした。そのうちネットが普及してmixiやFacebookなどが登場しましたが、その頃には30歳半ばだったし、自分のことを語るのが苦手だったのもあって、何かを発信したりはしてこなかったんですよ。

だから、SNSに関心がなかった私にとって、「インフルエンサーブランド」と呼ばれる存在が現れたときには、正直モヤモヤしました。今まで必死に物作りをしてきた側からしてみれば、「フォロワーが多いってだけで、こんな簡単にディレクターとかデザイナーになれちゃうんだから、いい時代だよね!」なんて不貞腐れていました(笑)。

でも、簡単にインフルエンサーになんかなれないですよね。

あれをやるのにどれだけプライベートを切り売りして、毎日大変な思いをしているのか……。いざ自分でSNSを始めてみて、それにようやく気づいたんです。今は作品の宣伝のためにやっているんですけど、だからこそ余計に勉強になりますね。投稿時間や投稿頻度、内容もそうですし、気をつけなきゃいけないことばかりなんだって実感しています。

なので、今はインフルエンサーのディレクターは絶対必要だなと思いますね。

 

 

――では、スバルというキャラクターにはご自身のSNSでの経験も反映されていたり?

 

林田先生:いえ、私自身というよりは、もっと若い世代のご意見をいただいています。できるだけネット世代の、ネイティブに近い方々のお話を聞きながら「スバルだったらこうだよね」と考えながら作り上げていますね。私だけで作ったら、こんなに軽快なスバルはできないですよ(笑)。でも、自分で運用してみた結果、最近はだいぶSNSがわかってきましたね。

 

――スバル以外のキャラクターはいかがでしょう? 生産管理の「宮さん」というキャラクターはアパレル時代の先輩が元になっているとのことですが、その他のキャラクターにもそれぞれモデルがいるのでしょうか。

 

林田先生:そうですね。私が過去30年間に出会ってきた人たちが、作中にいろんな形で出てきています。なので、アパレル時代の仲間が「この子、〇〇さんでしょ?」って言ってくることもあるんです(笑)。「ズバリその人!」というキャラクターもいれば、何人かが合体してできたキャラクターもいますね。たとえば、デザイナーのキヨヒトも2〜3人は混ざってるかな。あとビジュアルに関しては、モデルさんとか俳優さんからイメージを取り入れることもありますね。

 

 

――30年間、いろいろな方々と関わってこられたからこそ、多くの魅力的なキャラクターが生まれたのですね。では、林田先生が思う「ファッション業界で働くうえで大切なこと」を教えてください。

 

林田先生:やっぱり「人を大事にすること」がいちばん大切かなと思います。どの業界もそうなんですけどね。そのために私がすごく意識してきたのは「嫌なことをされたら、人には絶対しない」ということでした。

私が新人だった頃、嫌な受け答えをしてくる上司がいたんです。「今忙しいの!」「ちょっと後にして!」とかね。あれが本当にトラウマで。だから「私は下の世代に絶対あんなことしない!」って決めたんです。後輩に声をかけられても「ん? なに?」って即答していました 。

最初のうちは「お人好し」「優しいからなんでも仕事引き受けてくれる」とか、いろいろ言われました。でも、そうやって振られた仕事も嫌がらずにやっていたら、全部が吸収されて私の力になっていったんです。30年間やり通せるだけの武器と、助けてくれる仲間がいっぱいできました。

「嫌なことをされたら、人には絶対しない」というのは基本的なことです。そこから「こう教えてあげよう」と考えたり、時には厳しく「こういうことはやっちゃダメだよ」って怒ってあげたりして、人のためにできるようになることを、「コミュニケーションが取れた」って言うんじゃないですかね。

「人を大事にして、大事にされる人」、皆さんもそういう人になってほしいですね。

 

――ありがとうございます。では、最後に一言メッセージをお願いします。

 

林田先生:お洋服って着るのも楽しいし、作るのも楽しいですよね。「アパレルドッグ」にはそれが詰まっていると思いますし、読んでいるとちょっと会社に入った気持ちになれますよ! アパレル業界は、皆さんが思っている以上に楽しいところです。ぜひ、好きなことを仕事にしてくださいね!

 

 

林田先生、貴重なお話をありがとうございました!

そして今回、tfacでは「アパレルドッグ」デザインコンペを開催。
選考の結果、見事受賞したデザイン画をもとに「モーニング」38号(8月21日(木)発売)の巻頭カラーページにてキャラクターイラストが掲載されることに!!

こちらの詳細も追って告知します!

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

8/20に開催予定です。

 

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