~就活室便り~#57 The Rain Song
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。毎朝寒い寒いと
思いながらも少しずつ確実に陽は長くなってきていますね。私が朝
起きる時間が明るくなるのはまだまだ先ですが、それでも現在は電
車に乗っている途中で日が昇ります。季節の移り変わりも早いもん
だなあ、と思っていたら実はもうすぐ春分ですよね。確かに節分の
次の日はもう立春なんですから陽が伸びるのは当たり前と言えば当
たり前なんですけど、季節もうつり始めると早いですよね。そんな
季節に夕日を浴びているこんな建物に行ってきました。

その東京ビッグサイトには毎年何回行っているでしょうか。以前は
ここで開催されていた展示会の出展者としてその開催期間にはフル
に通っていました。自社ブースのレイアウト、設営、陳列も行って
いたので展示会の前日からかなり忙しく大変だった思い出がありま
す。企業によっては、はやりのIT系などはモニター、パネル等主要
設備を施工業者に任せ、あとはパンフレットを置くだけ、といった
ような陳列が多く、あまり会場設営で手間取ることもないですが、
ファッション業界はやはり色、柄の統一感、訴えたいものの効果的
な配置、導線を意識しての商品陳列、等、様々な工夫が必要となり
ます。それを今では、ヴィジュアル・マーチャンダイジング(VMD)
と呼んだりしますが、とにかくそんな陳列方法から壁の色、カーペ
ットのカラー、等々様々なことを毎日考えていたな、といまさらな
がらに思い出します。他の展示会に訪問した際にも商品だけではな
く陳列方法もブースのカラー、小物の配置までいろんなことを見な
がら参考にしていました。現在は基本的に展示会に出展する可能性
はないのでそこまでは注意してみていませんが、それでも立派なブ
ースを見るとアバウトの施工費とかは計算してしまいますね。なん
か思ったよりそんなことばかりに意識が行ってしまいます。展示会
は展示会で計算抜きに楽しみたいですね。
というわけで、今回ご紹介するのはギフト・ショーです。ギフト・
ショーは今回で101回目、3日間の開催で入場者が22万6千人、出展
社も2800社近く、と、日本では最大級の展示会で、繊維関係の展
示会で最大規模の東京テキスタイルスコープが出展280社、来場は
正式な主催者発表はありませんが、前身のジャパンクリエーション
から来場者がほぼ横ばい、という情報から考えると1万2千人前後と
推測されますので、その規模の巨大さがお分かりいただけるかな。
と、思います。その巨大なギフト・ショーの会場でみなさんにご紹
介したい企業、今後お付き合いができそうな企業を見つけるのは、
砂漠でダイヤモンド、とまでは言いませんが、やはりある程度強運
に恵まれないと結構難しいです。ギフト、ということがテーマにな
っているので、食料品、調理用具、日用品、美容関連、等直接関係
ないジャンルのコーナーも実に数多く、だからってそんなブースで
も陳列にいいところはないか、プロモーションの仕方に見るべきと
ころはないか、新しいジャンルの出展企業はないか、などと考え始
めると、結局全てのブースをもれなく見て歩くことになります。今
回も結局そうして全てのブースを見てまわり、想定していたジャン
ルとは違うコーナーで何件もの出展者の方々と交流してきましたの
でやはり展示会廻りは体力勝負ですね。週末にはだいぶ疲れてしま
いましたけど。
東京ビッグサイトで一番大きいのが東ホール、その次が西、この西
ホールはコミケ(コミックマーケット)のエスカレーターでの将棋
倒しで有名になったところです。前はこの2つの施設だけだったの
ですが、最近南ホールがオープンしました。東ホールと西、南ホー
ルとの間にはシャトルバスが走っているほどの広さです。今回は東、
西、南の3ホールを使用した広大な展示会で、ただ、東ホールは改
装のため3分の1程度の面積がクローズとなっています。
とは言え東ホールがメイン会場であることは変わりがなく、まず
東ホールから廻りじめました。気になったブースがないことはな
かったのですが、その広大な場所にほんの2、3ブースで、しかも
全て商談中だったのでそこを後にして西、南ホールを目指して移
動しました。
下の写真が南ホールの写真です。

そんな大盛況の巨大展示会の割には出展社もお客さんもがらがら、
なんかよっぽど人気のない展示会に見えます。ここが、そうは言
い切ってはいませんでしたけど中国企業のブースです。1階の3割
ほどは締め切っていて、しかも同じ広さの展示場がもう1フロアあ
るのですが、そちらは完全にクローズド。ホール自体が寂しい雰
囲気に包まれていました。来場者はともかく、この出展社の激減
は、今まで日中間でいろんなもめごとはありましたが、ビジネス
ベースでは何も変わることのなく、というか取引実績は伸び続け
ていたはずですから、政治的な軋轢が背景にあるとしたらかなり
異常と言わざるを得ません。一番考えられるのは補助金の停止で
す。大企業ならまだしも中国でもあまり大きくも有名でもない企
業がわざわざ他国開催の展示会に出展するのって、それはやっぱ
り補助金の後押しがあることは否めませんよね。実際に出展時の
ブース代、小間装飾費、貨物運送費、それと人員渡航費(の一部)
を補助する制度があるようで、要は全部ですよね。中国政府から
そういった補助を停止した旨のアナウンスは一切ありませんから
(元々外国人にはその補助の制度やその内容自体ほとんど知らさ
れていません)、実際にはどうなのか判断はつきかねるところが
ありますが、とにかく、会場の空きスペースでサッカーができる、
と言ったら言い過ぎですが、フットサルができるくらいのスペー
スはあったように思います。
ここから歩いて西ホールへと移動、西ホールは2フロアで展開、
まず1階を見てから4階に上がりました。4階、と言いましたが、
2階は会議室、出展者控室等が壁際に数室設けられ、3階はなく、
その分1階の天井が高くなっており、1階の上のフロアは4階、と
いうことになっています。2つのフロアをエスカレーターがつな
いでおり(最初のころに話した問題のあったエスカレーターです
ね)、そこから撮った写真が次の写真です。

1階と4階の構造が少しお判りいただけるかと思います。西ホー
ル展示場はコの字型の展示場になっていて、その真ん中が赤い
カーペットが敷いてあるスペースで、天井まで吹き抜けになっ
ています。そのスペースを利用してコンセプト展示になってい
たりすることがよくあるのですが、今回も新興各社のスペース
となっていました。
今回4階は地域産業振興目的の、県別、地方別ブースが数多く、
ちょっとあんまり当校とは関係ないかな、と、思って見ていた
らこんな実演をしているところに鉢合わせしました。

ここで実演されていたのは傘用の生地です。生地に間が空いち
ゃってるのが見えるかな、と思います。普通の生地は経糸を引
き揃えたら緯糸を通し強固な生地を織り上げ、その上に柄を乗
せていきます。ところがこちらでやられているほぐし織りとい
う技法では経糸を引き揃えたらあとはそれがばらばらにならな
いように仮抑えの緯糸で固定し、その段階でプリントをしてし
まいます。そうしてプリントが出来上がった後に正式に織機に
かけ、織り上げる、という、素人考えからするとなにもわざわ
ざそんなに手のかかる工程省いてもいいのに、と、思ってしま
いますが、そうして織り上げた布では、ある程度経糸が織り上
げる際に動くため、柄が少し動く、というか、にじんだ感じに
なるそうです。そのにじんだ感じが、傘となって雨滴が着いた
ときに見えるその柄が絶妙、ということらしいのですが、ちょ
っと雨滴がついたときにきれいに見えるような柄を作るって、
言葉でいうのは簡単でも、って言おうと思ったんですけど言葉
で言っても難しいですよね。そして織り上がった布も見せてい
ただいたのですが、とても一般の人がきれいに縫える密度では
ないです。下がその織り上がる前の拡大写真です。

こんなに細い糸が見えにくいかもしれませんがあの頼りない仮
抑えの緯糸で固定されただけで染色にまわるって、なんかそれ
自体アンビリーバブルな世界です。
そしてその傘を縫い上げるのは今まで見たこともない形の見た
ことのない大きさの、こんなミシンです。

こんなミシン見たことないです、って申し上げたら、もう本当
に絶滅危惧種で、現在数台は在庫を確保されている、というこ
とで、しかもその数台のミシンが各々固有の癖があって、それ
をなだめながら、すかしながら、得意なところを使いながらま
さに会話する如く使いこなしていらっしゃるそうです。お話を
お伺いすれば確かに当然そうだな、と、思うのですが、傘って、
直線のところが1か所もないし、しかも縫い合わせのところは
骨があって立体的になっているとすると、その柄合わせって、
ちょっと普通考えたらまず不可能というか、だから普通は水玉
とか、そういう柄が多いと思いますし、たまにチェック柄とか
もありますが、柄が合わないなんて当たり前ですよね。それが
大きい絵画の柄でもぴっしり合っています。
なんか結構怖いくらいなんですが、ここまで来ると伝統工芸と
いうよりもう文化財というかそんなレベルの気がします。
紹介遅れましたがこちらの会社は株式会社モンブランさん、墨
田区で営業されています。後でホームページを覗くと大体傘1本
2万4千円、という上代が多いようです。高いといえば高いです
が、その代わり20~30年使用可能で、破損の場合、修理も可能
とのこと。20~30年の間に傘に一体いくらかけていろんな傘を
買い替えてるんだろう、と、思うと実はそんなに高いものでは
ないという、実に伝統工芸恐るべし、ですね。
昨年は新卒を一人採用されて、今後ずうっと指導していく、と
のことでした。この技術、一朝一夕に学べるものでは当然あり
ません。長い長い時間がかかるとは思いますが、伝統技術の継
承者として頑張って行って欲しいです。そして来年卒の募集が
あるかどうかはわかりませんが、もし機会があるようでしたら
本校学生の中からでも挑戦する人が出てくれたらと思います。
工場見学をお願いしたら、そういうツアーもあるようです。早
急に検討していきます。
このモンブランさんが実演されていたコーナーが、「東京手仕事
プロジェクト」、というコーナーで、江戸職人の匠の技を現代に、
世界に向けては発信していこう、という東京都が主催するプロ
ジェクトです。そこに江戸工芸各社が集まり、作品を陳列して
いらっしゃいました。そのコーナーで、次にご紹介するのが
ふじや染工房さんです。まず画像をご覧ください。

これ、ただきれいなスカーフだな、って見てると大間違いで、
「引き染め」という手法で染められていて、もっとわかりやす
くいえば、手書き、手染めです。基本的には着物の染色法なの
ですが、10m以上の生地を両端木の棒に貼り付けて引っ張り宙
吊りにし、そこに刷毛で柄を描いていく、という手法です。
ふじやさんではその染場は土間で、そこに生地が宙吊りになっ
ており、そこを刷毛で手書きしていく、というのがその手法で、
普通のプリントみたいに何らかの台があって、その上で型を使
って染めていく、というのと全く違います。多色使いのものは
一度塗ったものに何回か染料を重ねていく、という手法で作ら
れていますが、そんなの型を置いてその上をこする、という普
通のプリントでも難しいのにどうやってやるんだ、っていう感
じですよね。いちばん左に少し白地の見えるスカーフがあると
思います。普通のプリントの手法だってほんのちちょっとの力
加減で白地に染料の泡、水滴が飛んでしまいます。そうして飛
んでしまった染料は白地にしみ、汚れのように残り、まず検品
ではねられがちです。そんな難物が出る状態を「しばき」と言
います。かつてプリント企画をしている時に、帝国ホテル内の
某スーパーブランドにサンプル用としてスカーフを買いに行き、
手袋をしたスタッフの方に商品を見せていただきましたが、パ
ッと見ただけで20型以上の型を使ったハンドプリントなので迫
力は十分ですが、よくよく見ると結構しばいてました。それで
も難物扱いしていないのは、それ以上のしばきを抑えるのは物
理的に不可能だということなんだと思います。それがこの手書
き手染めのこの方法でどうしてこんなに綺麗にできるんだろう、
と、思いますよね。もう正直に社長さんにあんな苦労こんな苦
労というようなお話をお伺いしようと質問したのですが、そう
したら簡単に、「ははっ。失敗?しないですから」、とまるでドラ
マのようなセリフを何事もなかったように言われてしまい、な
んかちょっと呆気に取られてしまいました。その自信はどこか
ら来るんだろう、と、思いつつもそれだけの自信がなければで
きない仕事ですよね。またその自信の元になる経験を、本当に
数多く積んできていらっしゃるんだろうし、本当に職人、とい
うよりはやはりアーティストなのかな、って感じがします。プ
ロの画家が自分の画風の勉強はしないでしょうし、それよりは
いろんな刺激でどんどん描き溜めていくことが重要なんだと思
いますが、ふじやさんもそうしてどんどん染め続けて行ってら
っしゃる、ということなんでしょう。下がブースの写真です。

現在では和装、スカーフ等の衣料用だけでなく、タペストリー、
アートパネル、等の需要もあるようで、写真のようなものも屋
内陳列でかっこいいですよね。実際にヒルトン東京でアートパ
ネルとして採用されています。
会社は高田の馬場にあり、本校からはすぐ近く、一度訪問、
見学を考えています。一度、染めている現場を学生に見せたい、
という話をしていましたら、それではまずおひとりでお越しく
ださい、その場合は無料で見学OKですから、というお言葉を
いただきなんか結構乗り気です。来期のカリキュラムと併せて
早急に検討したいと思います。
伝統工芸ブースが各地域、各自治体で結構な数の出展があり、
いろいろご紹介できればとは思いますが、漆器、焼き物、塗り、
調理用具、化粧筆、櫛、等の分野のちがうものは遠慮し、その
他一部ブログ掲載不可の団体もありましたのでそちらも諦めま
した。
というところで西館をほぼ廻り、本来のアパレル製品ブースが
ある東館に戻ることにしました。さすがに疲れてきたので当然
循環バスで戻ります。
、といううちに紙面の残りも少なくなってきたので、紹介でき
てもあと1社くらいでしょうか。せめて画像だけでもご覧いただ
ければと思います。
KIRIKOMIというメーカーをご紹介します。渋谷西部A館4階に
出店されている、とのことですが、本社は小樽です。今年は特に
寒そうですよね。

こんな感じのレース、刺繍使いの商品が多いです。

こんな感じとか。
靴もセットアップできるようになっています。

東京にも渋谷に事務所があるようですが、本社との役割分担、
企画、デザイン、パターン等、どこでどうしているのか、それ
がいまいちよくわからなかったのですが、商品は面白いですよ
ね。このギフトショーの場合、かなりターゲット年齢が高いメ
ーカーが多く、ちょっと一足飛びにその年代に当校学生が行く
のは難しいかなあ、っていう気がしちゃうんですけどこちらな
らまだ可能性はあるんじゃないか、という目で見ていました。
今後研究の余地があるブランドでした。
なんだか1件のレポートが長いんですかね、あっという間に紙面
オーバーしてしまいます。あとのメーカーは次回にレポートを
お届けします。
なんか日本のものづくりに驚かされっぱなし、というか、逆に
和が一周回って流行の最先端を走っている感じですかね。昔、
フランス人のテキスタイルデザイナーと契約して、エスニック
柄を中心にシリーズ企画でプリント生地を作っていたことがあ
りました。最初はタヒチとか、なんかそこら辺のイメージで本
当に人気のある企画だったんですが、そのうちだんだん場所が
ジャパニーズになっていったようで、最後は唐草模様のモチーフ
とか、和の風呂敷、手ぬぐいみたいな柄ばっかりになってしまっ
て、最終的には終了するしかなかったんですが、なんか和柄って、
結構引力が強いのかもしれないですよね。しかも唐草模様とか
もほとんどの人が知らない世界になってきたので、今、和柄は
インパクト強いのかも知れません、。柄だけでなく、技術、後継
者に伝えたいですよねえ。よく伝統工芸や産地振興のインター
ンシップのご案内を頂くのでその都度学生には紹介するのです
が、なかなか応募者が埋まらず苦慮するのが現状です。最もく
くりが「繊維」というくくりで来るのではなくて「伝統工芸」
で来るので、多少の難しさを伴うのはしょうがないと思います
が。
私もこの業界は本当に長くて、とにかくいろんなものを見て歩
いた気になっていたのですが、結構知らないことのほうが多く
て、びっくり、というよりはなんかうれしくなってしまいます。
これからもどんどん歩き続けなくては駄目ですね。
次回はこの続き、ギフトショー後半から始めます。表題のThe
Rain Songは、Led Zeppelin
を代表するバラードで、ライブでは、The Song Remains The
Same(邦題は永遠の歌)とのメドレーで演奏されるとても美
しい曲です。これからは雨の日も高級傘と一緒に楽しんでいき
たいですね。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
3/20に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
【Web学校見学を随時受け付けています】
授業見学のご予約は下記URLから予約フォームでお受けしています。
https://www.tfac.ac.jp/学校見学予約カレンダー/
♦資料請求・学校見学・WebオープンカレッジがLINEで簡単に
申込ができるようになりました。
お友達追加お願いします♪♪

♡tfac Instagramフォローお願いします♡
@tfac__official

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



