~就活室便り~#42 You Can Get it If You Really Want | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

~就活室便り~#42 You Can Get it If You Really Want

~就活室便り~#42 You Can Get it If You Really Want

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。お盆も過ぎて暦の上では初秋となり、
時々涼しい風が吹くようになり、なんてことは全くなく、以前にも増して暑いですね。
みなさんも特に体調には気を付けて、今は大丈夫だと思っていても、それまでに蓄積
されたダメージが思わぬ結果を招くことがあります。水分を十分にとりつつ、気を付け
ていきましょう。毎日街を歩いていて必ず数台の救急車とすれ違います。そのすべてが
熱中症ということではないでしょうが、その確率はかなり高いと思います。暑さに強い、
弱い、という問題ではすでになく、とにかく命にかかわる問題ですので、お互い十分に
注意してこの酷暑を何とか乗り切りましょう。

というわけで秋風は当分期待できそうにないので、また少し半袖のシャツを買い足して
みました。こうなったら10月いっぱいまでは半袖で行こうかな、と思っています。気候
変動に対して抗うよりは少しでも仲良くしていくしかないですよね。各アパレルも厚手
は後ろ回しにして秋色薄手、半袖企画充実、という情報は毎日のように新聞紙上を賑わ
せているのですが、それでも冬の注目アイテムはニットとファーで、特にファー素材が
空前のヒットになるかも知れない、というようなニュースを見ると、確かにそれをいつ
売れば良いんだ、という話には当然なります。秋冬のマーチャンダイジングは、今後も
さらに難しさを増していきそうです。

というようなことを休み中色々考えていたのですが、そんな中、本校と週刊モーニング誌
で連載中の「アパレルドッグ」がコラボし、洋服デザインコンペが開催されました。その
結果が8月21日発売のモーニング誌で発表され、3年専攻科の山田悠太さんが大賞に選ばれ、
山田さんデザインの服を着た主人公の田中ソラトが巻頭カラーページを飾っています。また、
準大賞には同じく3年の本間咲桜さん、審査員特別賞には2年の渋谷優亜さんが選ばれ、なん
かとても嬉しいニュースで、私としては購読用と保存用として2冊、週刊モーニング誌を購入
予定です。なんか親バカ、と言っても実際の親ではないのですが、我が事のように嬉しいです。
山田さんは将来の目標を「(アパレルの)企画職」と書いて応募されていて、そんな心意気も
また評価された点なのですが、今回はそんなこと色々含めてアパレルの企画職について少し
考えてみたいと思います。

 

前回も少し触れましたが、作中でソラト君の言う通り、アパレル全社共、「売れないと死亡
ですから」、という言葉は真実をついています。しかも売れるもの、良いものの理由が、機械
やその他多数の産業分野のように性能を数値化できる要素がほぼない、と、言って良いのが
アパレル業界だと思います。そのためアパレル企画者はまず徹底的に顧客の情報を分析する
ところから始める、というかそれをしなければ企画自体成り立ちません。どの世代の、どん
な嗜好を持ったお客様が、どんなアイテムを、どんな色、柄、テイストで、どんなプライスで、
どれくらい必要なのか、それを見極め、そこからそこで想定された顧客像に向かって、実際に
各商品に落とし込んでいくのが商品企画の最初です。例えば、世代に関しては、以下のような
分類をアパレル業界では以前からしています。

◆キネマ世代 1936〜45年生 80〜89歳 約1430万人

ケよりはハレ重視。おしゃれは正装、お出かけ着。

◆団塊世代 1946〜51年生 74〜79歳 約1160万人

消費が善になった世代。アメカジの影響大。憧れのハワイ航路。おしゃれが日常的に。

◆DC洗礼世代 1952〜58年生 67〜73歳 約1100万人

別名「シラケ世代」、横並び意識に反感を持ち、個人の価値にこだわる。DCブランドを経験し、
ファッションに対するこだわり強。

◆ハナコ世代 1959〜64年生 61〜66歳 約920万人

バブル世代、男女雇用均等法第一世代。上昇志向、消費、所有力強。ブランド大好き。

◆バナナ世代 1965〜70年生 55〜60歳 約1100万人

吉本ばななに由来。バブルとその崩壊を体験。無理せず、気負わず、自分らしいライフスタ
イル重視。肩ひじはらない等身大ファッション嗜好。

◆団塊ジュニア世代 1971〜76年生 49〜54歳 約1100万人

就職氷河期世代。失敗しないように堅実嗜好、等身大嗜好。自己主張弱め。モノよりコト重視。

私がアパレル企画をやっていた時はここまでの分析だったのですが、さすがに今ではその下の
世代も分析されています。自分の知らない事を書くのも何ですし、スペースの問題もあるため、
それ以降に関しては以下世代名と人数だけ挙げます。

◆プリクラ上世代 1977〜81年生 44〜48歳 約780万人

 

◆プリクラ下世代 1982〜86年生 39〜43歳 約690万人

 

◆ハナコジュニア世代 1987〜91年生 34〜38歳 約600万人

 

◆LINE上世代 1992〜96年生 29〜33歳 約580万人

 

◆LINE下世代 1997〜2000年生 25〜28歳 約480万人

 

こんな感じで対象世代を分け、そこから更に職業、年収、地域、嗜好等を加味し細かく分析
していきます。一目見て、上の世代のほうが圧倒的に人口が多いのに気づくと思います。売上
を重視したら上の世代、人口も多く、住宅ローンや教育の支出が終わって可処分所得の多い
ところを狙うのが当然のことです。しかし、上の世代の人口は今後必ず減少し続けます。平均
寿命は確かに伸び続けるかもしれませんが、それでも100歳以上の人口が爆発的に増え続ける
とは思えない、というかいつかはそうなる可能性があるとしてもまだ先の事のようです。そう
いうわけで各産業各分野で企画ターゲットの若返りを目指しています。老舗有名百貨店では訪問
した感想から言っても70代以下のお客様はほとんどおらず、むしろ80代、90代と思しき方が
数多く見られます。しかし百貨店バイヤーに聞いた話ですが、今後ターゲットとしては50代を
中心とし、どんどん若返りをはかっていくそうです。50代が若がえり?とお思いかもしれません
が、今までの顧客層から30歳くらい若くなるわけですからそれは企業としては大英断の一つに
入るんだろうと思います。

 

どの世代のどんな人にどういう服を提案していくのか、そのブランドコンセプトを決定したら、
今度はそれを商品に落とし込んでいきます。ブランドコンセプトはMD中心に、商品への落とし
込みはデザイナーが中心となって行なっていきます。デザイナーは何も自分の好きな絵を描いて
いれば良いのではなく、実際にその服を買っていただけるお客様を想定してデザインしていき
ます。その仮想のお客様を「ペルソナ」と呼びます。店頭リサーチ中に見かけたお客様、芸能人、
最近ではピンタレストの画像を見ながらとか、様々な方法でペルソナを想定していきます。こう
して出来上がった絵型をMDと打ち合わせしながら予算に合わせて商品構成をしていきます。

 

アパレルの歴史として1960年代にはまだ仕立ての方が既製服より多く、アパレルメーカーはほと
んどありませんでした。それが70年代になると既製服が中心になりアパレルが乱立します。その
当時は服の売り場といえばアイテム別で、ブラウス売り場、ボトム売り場、ドレス売り場、コート
売り場、と言ったように売り場が分かれ、アパレルも当然専門アイテム別に分かれていました。
トータルでの商品構成をしている売り場はよほどのブランドでもない限りありませんでした。

 

それが80年代からはトータルブランド、ブランド毎の売り場だけになっていきます。今まで全く
作っていなかった商品まで手掛けなければアパレルとして成り立たなくなってしまいます。商品の
種類としてはいきなり5倍になった、という感覚に近いものがあり、だからと言って売り上げが5倍
にならない限りその分の人を増やすのは難しいですから、その対策として自社で企画、生産しきれ
ない分を他社から仕入れる、セレクトショップ、と言うような店舗運営法や、OEM、ODMといった
他社生産品を自社のラベルをつけて販売する方法が取られるようになりました。こうして、店舗だけ
でなくアパレルにも「バイヤー」というポジションが生まれます。現在では各ブランドのショップで
は服だけでなくバッグ、アクセサリー、スカーフ、靴、等かつてはアパレルでは取り扱わなかったアイ
テムまで商品の幅は広がり、バイヤーの仕事は年々増え続けています。特に海外では服とそれ以外の
ファッショングッズ全てを集めた総合展が開催され、世界中のメーカーが出展し、世界中のバイヤー
が訪れます。有名なのはパリ、ミラノ、カリフォルニア、香港、上海、等です。私もいろんな展示会に
参加したのですが、今回香港に行く機会があり、その外観を撮影してきました。写真をご覧ください。

 

 

これが香港ワールドコンベンションホールの外観です。ほぼ毎週いろんなショーが行われ、世界中の人で
賑わっています。今回はブライダルフェアをやっていました。こんな感じです。

 

今回は観光目的で特に名刺も持ち合わせておらず、ブース内に入るのは遠慮しましたが、世界中どこへ
いっても東京ビッグサイトよりはかなり大きな会場になります。そんな中で一人でまわり、納期、値段、
数量等、全ての交渉をし、見落としがないようにするのは結構大変だったりします。ただ本当に大変なの
は帰国後、社内にバイイングした商品をプレゼン、その商品の時代背景、市場動向、等を含めて社員全員
に納得させ、各得意先に提案、ヒット商品にするまでの工程で、いくら良いと思ってバイイングしてもそれ
が売れる商品でなければ即バイヤー失格、となるのですが、約20年そんな仕事を続けられたのでまあ結果は
良かったんだと思います。その代わり結構しんどい毎日でしたが。

そんなMD、バイヤー、等といった企画の仕事は辛いことが非常に多いですが、想定以上に売れた、といった
時にこの仕事にまさる優越感を味わえる仕事はなかなかないと思います(アパレルドッグでソラト君もそう
言っていました)。みなさんにもいつか、そんな喜びを味わっていただけたら、と、思います。

で、そんな企画職ですが、就職指導していて特に質問が多いのは、どうしたら、一体いつ、どうしていたら
企画職になれるのか、というものです。現在ほとんどのアパレルは総合職として入社、店頭を数年体験した後
で適性を判断しキャリアチェンジの可能性あり、ということになっていますので不安に思うのも無理ないと
思います。しかしアパレルに入社し、将来は企画職に就こう、と強く望んで行動していれば、それは必ず叶う、
ということを忘れないでください。ただし、強く望んで、行動していれば、です。

例えば店頭で、入荷した商品の下げ札が記載ミスであ正しいものに付け替えなければならなくなったとします。
確かに下げ札交換は大変な作業ですが、その分誰よりも多くその商品を触ることができ、その生地の良さ、特徴、
等を誰よりも把握できることになります。得意先のMDで例えいくらご自分が昇格されても出来上がった商品の
下げ札つけはご自分で行なっている方がいらっしゃいました。理由をお伺いすると、「上がってきた商品を札をつけ
ながら自分でさわってみないとその商品が良いか悪いかなんてわからないから」、というお返事でした。付け替え
だけでなく値札シールの貼り直し、等、大変な作業は数多くあるでしょう。それをただ大変な作業、と感じるのか、
あるいは値下げシールを貼らない商品と値下げする商品は何が違うのか、さわってどうなのか、考えるのとは自ずと
今後が違ってきます。

素敵なスカートをはいたお客様がご来店し、お客様にそのスカートを褒めながらそれに合うブラウスを提案、気に
入っていただき買っていただく、そんなお客様が1日に3名もいらっしゃり興味を持ってそのお店を訪問しスカートを
拝見、どうしてこのスカートを作らないかと本部に提案、等々できることはあり過ぎるほどあるのです。まず服が好き
なこと。いつでも服の事を考えていること。そしてお客様の求めているものを1番知っていればそれが企画職への1番の
近道だと思ってください。アパレルに閑職なんてありません。例え倉庫担当で毎日出荷だけに追われる生活でも店頭の
仕事があまりにも忙しく体力的に辛いと思っても、どんなポジションでも、強く望んで、行動していれば、いつかは
必ず道が開けます。他の業界とは違い、自動車のセールスから車のデザイナーになるのは100%無理と言って差し支え
ないと思いますが、アパレル業界では往々にしてありうる事ですし、倉庫から、店頭から、営業から企画になった、
という方は枚挙にいとまがありません。自分も含めてそういう例は嫌というほど見てきました。とにかく強く望んで
行動していきましょう。

 

20年近く通った香港に今回初めて私的に旅行で訪問し、なんか結局その間こんなことばかり考えていました。色々
考えているうちに、思い出して最近また聴いているのが、ジミー・クリフの「You Can Get It If You Really Want」です。
ジャマイカ人ミュージシャンとしては珍しくクリスチャンの彼はこの題を多分聖書の「求めよ、さらば与えられん」
から取ったと思うのですが、当時の独立して間もないジャマイカでは、この歌詞を異様なまでの明るさで歌う社会情勢
ではなく、この曲ではその明るさにかえって凄みがあります。いずれにしろ求めるとしたら、「But You must try, try, try
and try」、と続く歌詞と同じく、諦めずに、粘り強く、いつまでもトライしていきましょう。そうすれば必ず道は開けて
くると思います。

学校での勉強となるとMD、企画の勉強はもうちょっと技術論になってくるのですが、今回は夏休みスペシャル、という
ことでこんなことを書いてみました。久々の香港、ということでもう1枚、夜のコンベンションホールの風景もお楽しみ
ください。

もう一つ。旅行前にキュリアスデザイン様の展示会にお邪魔しました。西武渋谷店A館3階の売り場を使ってのまさに
大胆な展示会でしたが、そこでお伺いしたお話を一つ。社長の片葺さんは現在別の百貨店から新コンセプトのショップ
のオープンを企画段階から任されているとのこと。それは異業種のメーカーの参入も企画されているとのことで、百貨
店、参入予定数社を含めた全体会議が数回あり、そのショップの名前を考えて次回の会議で提案していただけるよう片葺
社長に依頼があったとのことです。次世代のMD、ということを考え、AIにショップのコンセプト、キーワード、等の情報
を数多く与え、ショップ名を提案するよう指示を出したところ、10のブランド名をAIが提示したそうです。そのどれもが
結構素晴らしく、明日の会議はこれで問題なく進行する、と安心して前夜眠りについたそうです。

ところが、朝起きるといきなり一つのショップ名が頭に浮かんだそうです。しかし前夜作った資料をもう訂正する時間的余裕
がなく、そのままの資料で会議にはのぞみ、その10の中から2,3、の候補に絞られその中で決定しよう、となったときに、
実は今朝急に頭に浮かんだ案がある、と発言し、間に合わなかったので手書きコピーのその案を全員に渡し、そのコンセプト
から全て説明し、その名前も候補にのせてほしい、と提案されたそうです。結局、満場一致でその朝思いついた手書きの案に
ショップ名が決定したそうですが、AIで置き換えできないMDの仕事って、そういうことじゃないんだろうか、と本人がちょっと
出来すぎの話ですけど、と、ほんの少しだけ照れながらおっしゃっていました。アパレルの企画がAIで置き換えられる仕事では
ない、というお話ですが、片葺社長の迫力に押されて展示会の写真を撮ることを忘れてしまいました。それ以外に写真撮りを
忘れてしまったイベントがいくつかあり、今回は絵日記風にいろんな写真を交えて短い話の連続みたいにしようと思っていたの
ですが全く違う話になってしまいました。まあとにかく8月21日発売の週刊モーニング忘れずにご覧になって下さい。山田さん、
本当におめでとうございました。

次回から、また企業レポート、展示会レポートが始まります。ご期待いただけたらと思います。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

 

スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

8/28に開催予定です。

 

詳しくは下記よりご確認ください。

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