~就活室便り~#56 Bleach
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。娘がダイビングの
ライセンスを取ることになって、この寒いのに海まで行っていまして、
海は大好きではありますが、寒中に潜るとか、とにかく辛いことはす
べて若い人に任せようと思います。ダイビングで思い出すのが、以前
1回肺の病気をしたことがありまして、退院するときにお医者さんに言
われたのが、50メートル以上の高さからの飛び込みと、100メートル以
上の潜水はやめたほうがいいかもしれない、と、いうことでした。ま
あそのような機会は病気以前も以後もないのですが、50メートルから
の飛び込みは素人にはむしろスイサイド・アタックでしかなく、75メー
トルからの高さの飛び込みに挑戦した方もいらっしゃるようですが(ち
ょうどゴールデン・ゲート・ブリッジがこれにあたるようです)、約1300人
の方が挑戦して生還されたのは20人ほどだそうです。しかし、命がけ、
っていう言葉は確かにありますが、よく命を懸けて飛び込みに挑戦します
よね。まったく頭が下がる思いです。
100メートルの潜水、と言ったら成功しているのはジャック・マイヨール
くらいで、なかなか誰もができることではありません。50メートル飛び
込みも100メートル潜水もできなくても、不便を感じたり、悔しい思いを
したりしたことは一度もありません。
ダイビングのライセンスについて、詳しいことは本当に知らないのですが、
とにかく、プール1回、海で2回の講習をこなすと、18mまで潜水可能の初級
ライセンスがとれるそうです。それだけ潜れればもう全く違う世界を見れる
のでしょうが、なんかもうそんなに頑張らなくてもいい歳になってしまって、
海なら海岸、砂浜で磯焼でいいですし、ウインタースポーツにチャレンジし
たいね、とたまに夫婦で話したりすることもあるんですけど、やはり合言葉
は「整備された緩斜面」です。自然に挑むのは若いうちに限りますよね。海
辺で磯焼とビールか、雪見で熱燗でもう充分です。若いみなさんは頑張って
自然にチャレンジしてください。
そんな海にまつわる話をしながら、今回お届けするのは45rpmさんの展示会
レポートです。今回は11月~来年年明け店頭、ということで、冬~来春までを
網羅している結構広めの季節を扱っています。その中で冬のテーマが「海」、
ということになっていて、海とクリスマスがモチーフとして同居しています。
というわけで、ちゃんと最初の海の話とつながりましたね。まずは写真を。

毎回大人気の手書きバンダナシリーズですが、海の色を意識しながら一方では
サンタが飛んでいたり、ツリーのオーナメントが陳列してあったり、11~12月
の海とクリスマス、どちらの雰囲気も盛り上げています。
45rpmさんの展示会にお伺いするのがこれで何回目かはわかりませんが、毎回
毎回新鮮な驚きがあります。昔はそうではなかったかもしれませんが、自分た
ちの作りたいものを作るために、素材、糸、染料まで、こだわられて企画・制作
している会社は他にはほとんどなくなってしまいましたし、クイックレスポンス、
コストダウン、等々は各アパレルが真剣に取り組んだものの逆にものづくりのこ
だわりに関しては少しずつ後退していったかな、という感があるのは否めません。
コストダウンのためには大量生産は必須で、結果、大量に在庫を抱えるリスクも
あり、それがアパレル各社の経営を圧迫している一要因でもあります。以前大手
アパレルの中では、将来の追加発注をちらつかせ、国内の仕入れ先に原料から工場
の生産枠から、仕入れ先にリスクを持たせ、つまり原料は発注書もなしで仕入れ先
のリスクとして在庫を積ませ、工場には他の仕事を入れさせずに、追加発注が決ま
った場合は短期間で納品させ、追加が決まらなかった場合はそのまま知らんぷり、
という例を何回も見てきました。しまいには、仕入れ先が用意した原料より追加
発注の量が多いような場合、当然原料の追加生産をしなくてはならないのですが、
その分伸びた納期に対して、「納期遅れ」のクレームをつけ、値引きを要求する、
あるいは期末に余った在庫に関して、納期が遅れたから、ここに欠点があるから、
と、返品を要請するメーカーも多々ありました。そうして、自分の会社だけは生き
残ろうとしたんでしょうけど、特にひどい仕打ちをしていたアパレルで現在継続し
ている会社はありません。なんか自分だけ助かろうと思ってもそういうのって実は
難しいんですね。
それがその後よりコストカットを求めて中国をはじめ海外の仕入れ先と付き合うよ
うになると、まず注文時と出荷前に全額支払わねばならず今まで得意だった支払い
保留、という脅し文句が使えません。あなたのリスクで、と言ってみたところでき
ちんとした契約と支払いがなければ相手にもされませんし、言うことを聞かなけれ
ば来期からは取引停止、と、言っても彼らにはアメリカ、ヨーロッパをはじめとす
る日本のメーカーとは比較にならない大規模のビッグバイヤーが控えているので、
口うるさいだけで発注数量も少ない日本のメーカーがなくなっても痛くもなんとも
ないんです。きちんとした国際取引の交渉が不得手な日本のメーカーが、たとえ不
良品の名のもと製品の返品に成功しても、その前に払った関税と消費税は返ってき
ません。そして、そんな返品を強要するような会社とは二度と取引はしてくれず、
また次のシーズンに向けて新しい工場、仕入先の開拓から始めなくてはならないと
いう、ただただ忙しいけどなかなか結果が出せないメーカーが多いような気がしま
す。そうしたクレームを仕入れ先につけずに継続した取引を約束すれば、生産面で
は安定するようになりますが、今度は余剰在庫に苦しむことになります。そうする
とユニクロさんのように、大量生産する場合にはなるべく流行り廃りもないもの、
定番的な商品が中心となり、商品に差がなければ値段の勝負ということになり、そ
うするとより大量生産をする会社にはかなわなくなります。かといって特徴のある
製品を作ろうとしても海外生産の場合は最低生産数量が大きく、それではそういう
ものだけでも国内で、と考えても今度は値段が全然合わない、同じブランドで同じ
アイテムが、ちょっとしゃれているとしてもかたや5万円、かたや7千円、といった
らなかなかブランドとしての商品の整合性がないですよね、
現在、日本の洋服の生産量は年30億枚だそうです。そのうち、約3割は毎年の定番、
ということで来期に持ち越しているそうです。スーツとか、毎年形が変わるわけで
はない商品がこれに当たります。
現在日本人消費者が年間に買うアパレル製品は12~16着だそうです。人口1億2千万の
うち、新生児や高齢で寝たきりの方まで、国民全員で頑張って一人16着を買ったとす
るとそれでも2億着が余剰生産となり、全員の買う数量が年間12着だった場合は7億着
近くが余る計算になります。それだけ服の必要のない人までカウントしているので、
実際はどれくらいの余剰在庫なのか、これは想像するしかないのですが、某超大手ア
パレルの社長さんのインタビューでは30億の約半分が余剰、と、おっしゃっていまし
た。それでは、その製品たちはどこへ行ってしまうのか、バーゲンをやらず安く売る
くらいだったら、棄てて、燃やしてしまったほうが良い、というポリシーの元在庫を
廃棄処分されていたのが菊池武夫さんですが、ご本人含め、今はそんなことも許され
なくなりました。それでは現在は余剰在庫はどうしているのかというと、これはちょ
っといろいろ言うのが難しいところがあります。たとえそんな在庫が隠れていても、
シーズンが変われば新商品ばかりが店頭に並ぶようになりますよね。一部はリユース
屋さんに引き取ってもらう、社販での販売、等々いろんな方法がありますし、中には
ちょっと人に言えない話を聞いたりもします。現在コストアップの理由であらゆるも
のの値段が毎日のように上がっていますが、そんな流れに全く乗り遅れてしまってい
るアパレル業界、その背後には在庫の問題があるのはいなめません。
45rpmさんの展示会を紹介する前になんか暗い話になってしまって申し訳ないのです
が、上記の例は45rpmさんには全く当てはまらず、決算は連続増収増益というボード
も展示してありました。そしてリメーク品が驚異的な伸長率、というポップもその隣
にありました。
プロパー率、という言葉があります。つまりシーズンを通して定価販売がどれくらい
あったのかをパーセンテージにしたものです。たいていの場合、まず定価で販売、そ
の後優良顧客だけを集めた先行セール、期間限定セール、というような順で続き、シ
ーズン終わりになるとショッピングモール全館がセールになったりしますよね。それ
以外の定価(プロパー販売)率は、60%以上を目標に計画し、実際には30~40%が
一般的です。今回お話をお伺いしましたら、45rpmさんではまずセールはやらない、
ということ、それでもどうしても残ってしまった在庫、それと傷あり、と判断されB品
ではねられたものが約1割あるそうです。っていうことはプロパー消化率が90%‼、っ
てそれ自体がちょっと信じられない数字で、なんかそのことを当たり前のようにさら
っと流して説明されてしまったことはさらなる驚きでした。その残った1割を刺繍とか
の加工を新たに施し、付加価値を付け加えて元の値段より高く販売し、それが驚異的
な伸びを示しているって、これが驚きでなくて何なんだろう、っていう感じですよね。
大量生産とコストカットに頼らないお客様の欲しい商品、欲しい量を結果納得できる
値段で、クオリティはお値段以上で、と、そんな経営、ブランド運営って、たとえ頭
では理解できても実際にやるのは難しいですよ。簡単だったら全アパレルが黒字にな
っているはずで、いろいろ学ばせていただくことは多いですし、それ以上にそれだけ
こだわったものづくりをこうして見せて頂く機会があるのはまさに至福のひとときです。
すいません、こういう話は最後の締めくくりにしようと思ってたんですけどちょっと
話が長くなってしまいました。楽しい商品を見ていきましょう。

こちらが11~12月の商品です。インディゴを中心にしながら多彩な色、柄で海を表現
しています。

今回の展示会紹介シリーズでもたくさんのスロー織機を紹介してきましたがこちらは
スロー編み機で編んだニットです。空気の入り方が違うのか、やはりテンションの弱
い編み機で編むと違うんですよね。

クリスマスらしくインディゴカラーだけでなく、赤も当然入ってきます。トレーナー
の胸には「SANTA」の文字も見えますね。

このボーダーの配色だと結構どんな色にも合わせられてGOODですね。

水玉のパッチワーク。配列も結構ランダムで手仕事の特徴で色の抜け方も結構ランダム
です。自分だけのオリジナルな水玉を、という感じでしょうか。

藍染のジャケットはかさ高で年内はこれだけで行けそうですね。ストールは結構超絶触
り心地です。

こちらは年明け店頭商品です。色も明るく、春を感じますよね。

社内スタッフの手書き図案のバンダナとニット製品です。少し見にくいかもしれません
が、ニットにランダムに横スラブが入っているのが見えるかな、と、思います。そうい
ったスロー編み機のたまものの製品と、プリントもわざとかすれたような加工をしてそ
れが味になっているとのこと。ただ、それだけ手間がかかっている、ということの証拠
となっているので、実際に加工を依頼された工場さんも結構苦労なされてると思います
けど。

春のセットアップ。個人的にはグレーのジャケットが大好きです。

まさしく手編みのニットです。この編みをできる方が中国の60代の工員さんしかいない
らしく、他にできる方を探しても結局その人にお願いすることになってしまうようです。
糸は十分にラスティックなのに着たら非常に気持ちのよさそうなニットです。世の中、
凝ろうと思えば凝れるだけ凝れる、ということです。

特徴的な巨大のれん。外国人のお客様で日本文化好きな方には特に人気のようです。今
年の秋には銀座に旗艦店がオープン予定で、そこでは漆喰から何からこだわって和のテイス
トで展開される予定だそうなので、そういうところに映えそうですし、外国からの観光客
の方々に大変喜ばれるんじゃないかと思います。

藍染の生地で来年の干支の羊のマスコットを作っていらっしゃいました。干支マスコット
は毎年作っていらっしゃるそうで、ただ人気過ぎて売り出しを開始したらすぐに売り切れ、
というくらいすごい競争率らしいです。

人気の藍染、「藍職人」のコーナーです。現在は藍の栽培にも手を出されているほどのこ
だわりよう、デニムはデニムで、藍は藍で、よく言う育て方が少し異なるようで、ハケ
を中心に柄として色落ちしていくデニムと、全体的にしっとりと色がなじんでいく藍、
実際、ある程度の年月を一緒に過ごして、どちらがより自分に合っているか、ということ
だと思うんですけど、いずれにしろ長い年月を一緒に過ごしてからの判断となると思いま
すが、逆にその年月を一緒に過ごした服はもう手放せないんじゃないでしょうか。

藍染はニットにも及びます。長く着続けたい商品ですね。
ちょっと駆け足でご覧いただきましたが、製品にこだわろうと思ったら織からこだわる、
編みからこだわる、色を突き詰めていけば染料にこだわる、染め方にこだわる、そして
それ以上の風合い、表面感にこだわろうと思ったら糸からこだわる、綿からこだわる、
と、どんどんものづくりの根幹に帰って行って、そのこだわりが評価されている、という
ことだと思います。ただ、なんでも手間暇かければいい、というわけではなく、ここだ
けは手を抜けない、とか、ここだけはこだわりたい、とかそういった見極め、蓄積した
ノウハウ、本当に価値あるものの理解、お客様からの情報とマーケティング、そしてい
くらこだわりのものづくりに徹しようとしても、コストの問題は必ずついて回ります。
その判断をするのは当然経営者、ということになるのでしょうが、いつもこちらに訪問
していろんな方にお話をお伺いしても、社員全員が同じ方向を向いている、というか、
ここをこだわっている、これだけは譲れない、という点が気持ちいいくらい一致している
点がいつも気持ちいいです。
今回もこのブログにまさしく甚大なご協力をいただき、まだ店頭発表前の製品を、どうぞ
いくらでもお撮りください、と、言われるのは恐縮するとともにびっくりします。いくら
写真が撮られてもそんな簡単にまねできるか、工場は、ノウハウはあるのか、という自信
の現れかな、とは思いますがよく考えたらそれってすごいですよね。
次回の展示会には当校学生もぜひ見学に来てほしい、とのお言葉をいただき、今回はファ
ッションショーの準備と重なる時期だったので学生に声をかけるのもはばかられましたが、
次回の展示会には志望者をぜひ参加させてあげたい、と、思っています。とにかく料理だ
っておいしいものを食べたほうが上手になるし、服作りもいいものを見て、触って、体験
したほうが上手になるのに決まっています。表題「Bleach」はニルヴァーナのマイナーデ
ビューアルバムのタイトルですが、このアルバムの評価と経験が次作かつメジャーデビュー
アルバムの「Nevermind」の超特大ヒットにつながったんだと思います。経験、どんどん積
んでいきましょう。ずうっと応援しますから。
ここまで展示会レポートを続けてまだフランス展とギフトショーが残っています。なんか最
後まで本当に終わるんだろうか、という一抹の不安が残りますが、とりあえず出来るところ
まで頑張っていきます。次回レポートにもご期待ください。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
3/20に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
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