~就活室便り~#58 Slowhand
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。現在この原稿を書い
ている朝8時過ぎの気温が10度近く、とても暖かくて気持ちいいのです
が、明日の最高気温は朝の今の気温より低く、なんかもう思いっきり冴
え返るようです。日によって気温が10度以上違うともう何が調節なのか、
毎日どんな格好で外出したらいいのか、わからなくなります。たまに、
明日は春というより初夏並み、というような予報で、それを信じて薄着
で外出したら結局1日中曇天で気温が上がらず、寒い思いをして帰ってき
て、また天気予報を見てみると、昨夜と同じキャスターが、「いやあ、思
ったよりは気温上がらなかったですね」、とか笑顔でしゃべっているのを
見るたびもうテレビの天気予報を見るのやめよう、と、思うんですが、
現在は気象カメラと予測システムが発達したおかげで、どこの予報を見よ
うが独自の予報があるわけでもなく、予報に関して自分の考えを述べる
キャスターもいないので、結局情報源を変えても予報は一緒、という、
結論がすでに出てしまっているので、あとは自分の経験と勘で補うくらい
しかないですかね。本当に有料のいろんなサービス、アプリ、等々試した
んですけど結局現在そういうものは使っていないので、いちいちは覚えて
いないですが、やはり何か不適切な予報があって、お金わざわざ払ってこ
れ?ってなったんだと思います。まあ結局テレビの天気予報をぼんやり見
ながら本当に暖かくなる時期を待つしかないですね。
というわけで展示会ウイークを締めくくるギフト・ショー第2回目レポー
トをお送りいたします。これが今回会場に向かう途中の光景です。

東京ビッグサイトは現在日本一の内覧会場で、2位の幕張メッセより東京ド
ームよりまるまる一個、とまではいかないですが、0.9個くらいは大きい展
示会場で、ここを貸切にできる展示会はJapan Mobility Show(東京モータ
ーショー)とこのギフト・ショーくらいしかありません。いずれにしろビ
ッグサイトは展示会場としての人気が高く、なかなか全巻貸し切り、とい
うのは予定的にも難しいらしく、その予約が取れない分幕張メッセも好調な
ようです。いずれにしろその広大な敷地を最大限に活用したギフト・ショー、
見て、廻るのも時間がかかりましたが、レポートするのにも時間がかかるよ
うです。それではレポート2回目、行って見たいと思います。
まず今回最初の企業の写真を見てみましょう。

きれいなブルーが藍染、ピンクが桜染め、という説明になっています。
私の記憶では、きれいな桜の花をに煮込んだところで全然桜色の染料など出
てこず、むしろ茶系、とか、結構渋めの色になってしまう、というイメージ
があって、これは子どものころ桜の押し花を作った記憶のある方ならだれで
も納得していただける事実だと思います。とにかく桜にはピンク以外の色素
の色合いが多く含まれているようで桜からピンクの染料を作るのは不可能、
というのが定説だったと思います。それで今回このピンクと、その桜染め、
という名前を見て、思わず化学染料ですか?と、お尋ねしたら、いや、桜か
らの染料です。との回答をいただきとにかくびっくりです。そのびっくりし
た製品の写真もご覧ください。

だれが見たって桜色じゃないですか。現在ではここ以外にも桜染め、という
染め方、染料はあるようですが、たいていこういう場合では元祖はどこ?と
いうのは諸説あって決めるのが難しいところがありますが、この福岡で染め
ていらっしゃる職人さんがお始めになったとすると、少なくとも染に成功し
てから30年は経っていないようです。確かにその30年間草木染に注目してた
かなあ、と思うとしてなかったですね。すいません、完全に勉強不足です。
なんか自分の不明さに弁解のしようもなく、ただただ謝るしかないですね。
いつも紹介が遅くなってしまうのですが、この会社はSTYLE DESIGNさん、
シルクやオーガニックコットンといった肌に優しい素材のみ使用し、こうし
た日本の染職人のとにかく手間とひまのかかる染めをした商品を展開してい
らっしゃる会社です。
桜の染料の秘密その1は、実は桜の花びらを煮詰めるのではなく、染料を抽出
するのは枝からだそうです。茶色い枝の中に実はこんなに美しい色彩がつまっ
ていた、なんて結構すばらしいですね。会場では実際に職人さんが染めていら
っしゃるところの動画も流れていました。写真をご覧ください。

結局やっぱり1着1着手染めですよね。
何度も染めては洗い染めては洗いを繰り返し、最後にこの色になるそうで、た
とえ染料の抽出が他の方にもできるようになっても、実際誰が見ても桜染めと
言われて納得できる製品にするのはやはりかなり難しそうです。
福岡には硬水、軟水、アルカリ水の3つの種類の水が流れているようで、それが
桜染めを含む草木染には莫大なメリットがあるようです。自然の力、水の力っ
て、恐ろしいですね。現在、テキスタイルで圧倒的なプライスメリットを誇り、
世界を席巻しているのはやはり中国です。織物には先染め(染まっている糸を
織物にするもの)と、白糸のまま織り上げ、その後染色整理する後染め、とい
う手法がありますが、先染め織物に関しては中国でも技術が向上し、日本製と
ほとんど変わらないクオリティになってきたようですが、後染めに関してはま
だまだ日本のものとの品質の差は縮まらないようです。結局最後は水の差で、
灘の日本酒を作るのと一緒の水や、南アルプスの天然水みたいなので染めてい
るのと、黄色をはじめいろいろな色の川の水で染めたものとの差は少なくない
ようです。飲める水で染めているのと飲めない水で染めているとの差、といえ
ば一番わかりやすいでしょうか。そんなおいしい水でおいしそうな桜色を染め
た製品の写真をもう1枚ご覧ください。

製品のグラデーション染って、本当に作者の感性っていうか、個人の目分量、
っていうか、とにかく人から見て、欲しい、と思わせる製品グラデーション染
って、一目見て作者の名前がはっきりわかってしまうくらいに限られた世界の
作品、ということができます。名前までは全部わからなくても少なくともその
工房がどこだ、ということはわかっちゃいそうですね。それくらい各工房、各
職人さんで独自の技術もあるでしょうし、オリジナリティの勝負になるんでし
ょうけど、この白から桜へのグラデーションのやさしさ、ほんとにいいなあ、
ってため息が出ちゃいます。ただ白からのグラデ、本当に難しいですよ。
当然歴史的には全然古い藍のグラデーションもきれいで優しい色です。ご覧く
ださい。

ね、いいでしょう。場所が近くならすぐにでも見学に行きたいところですが福
岡となるとちょっとひとっとびには行けませんがなんかの方法を考えて本学の
みなさんにもぜひふれる機会を作っていきたいです。桜色、本当にいいもの見
せていただいてありがとうございました。
次にご紹介するのはコットンハウス・アヤさん、写真をご覧ください。

久々に豪華なレースを見ましたが、これ、高いですよ。テキスタイルの営業を
やっていた時にレースの商談を何回もしましたが、服の面積で使おうとすると
とても高くて普通のブランドでは使いきれず、結局部分使いでほんの少しの発注、
ということになってしまう場合が多かったです。それがまあよくぞこれだけふ
んだんに使ってあること。次の写真をどうぞ。

いいですね。これだけ手が込んでると、速い速度で作ろうとすると穴だらけで
ぼこぼこになってしまうし、糸の表面間も全く統一感がなく、結果売り物では
なくなってしまいます。つまりここでも合言葉は「スロー」ですね。ファスト
ファッションの完全な対極というか、短サイクル大量生産とは縁遠い商品です。
また、こちらではこのレースのデザインから自社でやられているそうで、レー
ス用パンチカードも陳列にありました。自社デザインの証拠ですね。写真をも
う1枚。

レース産地が石川県かほく市、という説明が見えますが、とにかく歴史的なレ
ース産地ですがそれにしてもみんな豪華な柄ですよね。こんなオリジナル生地
を国内縫製してあまり手を広げすぎずに、いいものだけを三鷹から、というよ
うな感じで創業以来ずうっと三鷹の地で営業を続けていらっしゃる。それが
1970年から、ということで、もう55年以上の歴史があるというのはまったく
頭が下がります。もし出来ましたら創業者の会長さんに一度本校でご講演を、
というお話もさせていただいたのですが、やはりお年がお年なだけあって
(1970年に創業された会長さんのお歳、だいたい想像できますよね)、ちょっ
とすぐにはご回答いただけませんでした。お話を伺えるのならこちらからお伺
いしてもやぶさかではないのですが、そうすると今度はスペースの問題もあり、
ちょっとすぐには結論は出ません。それでもとにかく良いものって、こういう
ものだよ、というのを学生達にもふれて学んでいってほしいですね。今後の課
題がまた一つ増えました。いろいろ考えること、多いですね。
最後に紹介するのは株式会社織馬鹿さん。名前からすると若い人が始めた新興
メーカーのような感じがしますが、兵庫を代表する「播州織」の老舗で、元々
はテキスタイル機屋さんでしたが、アパレルの国内生産、国内生地使用が減少
するにしたがって、ストールを中心に自社で製品を生産、販売していらっしゃ
る会社です。それではまず画像から見ていただきましょう。

形状としてはスヌードになり首を通して着用するんですが、その風合いがまさ
しく超絶で、ちょっと一度触ってみたらブースから動けなくなってしまいました。
播州織といえば江戸時代から始まる兵庫西脇地区の代表的な産業で、基本的に
先染め綿織物を生産している日本を代表する綿機です。先染め織物は染まった
色糸を使用するためストライプ、ボーダーをはじめいろんな柄を表現すること
が可能なだけでなく、織り上がってってから染める後染め織物はどうしても組
織と組織の間に染料が残り、先染め織物と比べると風合いが固く、厚ぼったく
なります。特にニットなどは、同じ糸、同じ組織と言われても信じられないく
らい違います。本当に生地って、微妙なこだわりで成り立っているんですね。
というような成り立ちの播州織のコーナーがありまして、最初に寄った時は満
員、で、最後に再訪することにしました。狙いは実はこの隣の会社に非常に表
面感のある先染め織物があって、それを目当てにしていたのですが、再訪時も
商談中で、それでは、と播州織ブース内の隣の会社の製品を触ったのが運の尽
き、というか望外の喜びが待っていたわけです。
そんなびっくりストールの写真がこちらです。

ただ単にきれいなボーダーとしても魅力はありますが、みなさんももし機会
があったら絶対に触ってみてください。ちょっと、人生変わるくらいびっく
りしますよ。この風合いが実際どこから来たのかっていう話もさせていただ
いたのですが、ご本人達はこれがあたかも当然であるかのごとく、普段とあ
まり違ったことはしていない、とのことでした。少しだけこれが秘密の一つ
では?と思ったのは、言われるまではわからなかったのですが、このボーダ
ー、実はサテン織になっているんです。普通サテン織といえば結構高密度で
むしろ硬い風合いのイメージがあるのですが、言葉でなんと言ったらわから
ないのですが、超ゆるゆるサテン、というか、いずれにしろ高速織機では絶
対無理な繊細な組織で、しかも経糸の柔らかい部分だけが肌に触れるように
なっていて、それに種々柔軟加工はしてあるはずなので、そんないろいろな
要素の組み合わせがこの商品の完成の要素になってるんだと思います。いや、
ちょっとこの風合いは感動的でした。初めてイタリー製のスカーフを扱うよ
うになった時、イタリーの生地の意匠と風合いにはびっくりさせられたので
すが、それは縫い目滑脱や引っ張り強度が必要とされないスカーフ専用のテ
キスタイルだからできる繊細さなんだな、と、気づき、それはいい意味でも
悪い意味でも結構衝撃だったのですが、この織馬鹿さんのストールはそのま
ま縫って製品にしてもそんなに問題はない、と思えるくらいスカーフスペシ
ャルではない普通の生地でした。それであの風合い、ちょっと凄いですよ。
そしてその理由がわからないくらい素晴らしい風合い、これは詳しい理由が
わからない場合って、結構あるのですが、それでも播州のきれいな水での染
色整理、これが一役買っているのは間違いないと思います。先程の桜染めと
いい、水の力って、本当に偉大ですね。そして澄んだ水って、世界でも本当
に貴重で、これを守り続けながら使い続ける、それがいつまでも続くよう祈
っています。
イタリアでもビエラ地方やコモ湖付近等、結局織物の産地はみんな水がきれ
いなところになります。水のきれいさでは日本も外国に負ける要素はほとん
どなく、江戸末期、六甲のおいしい水がどうしても欲しくて諸外国は神戸港
の開港を求めたのは有名な話ですね。とにかくいい生地にはいい水、これは
本当に必須条件のようですね。
確かに実際の生地の風合いを決定する要素が意外な要因であることもありま
す。かつては、カシミア、アンゴラ、モヘア、等の高級獣毛混織物の風合い
に関して、日本の機屋で織ったものがどうしてもイタリーの生地に敵わず、
なぜイタリーにだけあんな風合いが出せるのか、それはイタリーの生地をい
くら分解してもわからず、日本のメーカーにはできない永遠の差、のように
言われていました。それで、日本の産地の方々もその秘密が少しでもわかれ
ば、と思い、イタリアの展示会に海外出張して参加しました。そこでお目当
てのメーカーの生地見本を触ってみたところ、日本で触っている生地と全然
風合いが違い、愕然としたそうです。この風合いなら日本でも十分できる、
そう確信したのはいいのですが、それでは日本にあるイタリー製の生地がど
うしてそんな素晴らしい風合いになるんだろう、ということは相変わらず謎
のままです。
結果推測されたのは、獣毛混生地は春に発注し夏に入荷、というのが普通の
スケジュールです。当然大きく重い原反は船便にて日本に着くのですが、そ
の時期は実はインド洋がいちばん暑い時期でもあります。数ヶ月間、焼ける
ような甲板の下、蒸すに蒸されてきた原反の風合い、そのとろっとろに蒸さ
れた風合いは元とは全く違う極上のものになっていたのです。今では日本で
も超高級カシミア生地などは、やはり織り上がってから最低3ヶ月寝かした
りしますが、それでもインド洋の甲板みたいに大量に高温高湿で蒸せる環境
って、なかなかないですよね。これも効率を重視してエア便使ってたらそん
な風合い自体存在しなかったわけで、なんか良いものって、全てがスローで
すよ。そしてインド洋にも当然必要なのは水でしたね。
今回ギフト・ショーの2回目レポートをお送りしました。ギフト・ショーの
基本はやはりギフトになるもの、と、いうことで値段も安めのものが多い印
象なのですが、地域振興含めて地域の特産品を紹介するコーナーが充実して
いたり、新興ブランドの特集があったり、結構見るところは多く、その他紹
介しきれない会社の方が圧倒的に多いわけで、次回、またその次と、少しず
つでも紹介していけたらと思います。
それにしてもPR、ノベルティ、文具、キャラクター、等、新商品を抱えた
新しい会社、新規事業部門、等の出展社のまあ多いこと。一時争奪戦にな
るくらいに流行した商品が2、3年後にはもうどこでも見かけなくなった、
なんて例はもう記憶にないくらいありますよね。そんな中、やはり伝統に
基づいた確かな技術って、きちっと残っていってる気がしますし、残して
いきたいですよね。これからファッション業界で活躍していこうとするみ
なさん、まず良いものってどんなものなのか、その見分け方を勉強すると
いうよりとにかく一つでも多くみて、一つでも多く触ってください。もう、
本当にそれしかないんですから。とにかく、見て、来て、触っていきまし
ょう。
大量生産、大量消費の時代が現在では批判の対象になりつつありますが、
かといってそれを突き詰めてきたのが近代化の歴史であり、それが急速に
無くなる、ということは考えられません。ただ、そこには当てはまらない
スローな、手間のかかるものが、技術があり、それを評価する人がいる。
そんなスローを評価する人の数が増えていくかどうかはわかりませんが、
決して減っては欲しくない、減らないで欲しい、と、真剣に思います。
以前、技術の継承が途切れると、それは本当になくなった手法になって
しまい、その後復活なんてできない、という話をしたことがあります。
そうなるとその技術を評価していた人、必要としていた人も失ってしま
うこととなります。特徴のある、結構他にはないようなお店が、諸事情
により閉店してしまったような時も、それまでのお客さんって、なぜか
他を探して他の店に移る、他の代替商品に替える、というよりはそのま
ま何処かに消えてしまうんですね。そして特徴的だったお店と特徴的だ
った商品は、そのファン共々存在しなくなってしまいます。本当に良い
もの、それは何処にも行かせたくない、というか、伝えて、使い続けて
いきたいです。桜染めのように、その中でも少しずつ新しい技術は出て
くるはずです。そうすれば、ほんの少しずつでも新しいファンが増えて
いってもいいわけで、商品とファンは一心同体、ファンが離れないもの
だけが生き残っていくので、逆に、消費者として客として安穏としてい
ればいいだけでなく、ものを見る、ものを見極める力をつけていかなく
てはなりません。そしてその力を少しずつでもつけていくために、とに
かく、知らないものには触れましょう、さわりましょう。そしてスマホ
で眺めるだけでなく、実際にショップで、着て、見て、ふれていってく
ださい。後継者の問題は確かにありますが、どんな技術もそれを評価す
る人がいなくなった時が絶える時なのですから。
モーダイタリアから始まった2月第1週のレポートが、やっとここでフ
ィニッシュできそうです。1週間の間にこれだけのブースをまわり、商品
を見て、お話をして、しかも取材の準備をして機材を持って録音から文
章をおこしているわけではないので、結構覚えているだけで大変なはず
なんですが、メモも何もなく、何回にも渡って文章起こしって、大変な
はずがでなぜできるのか、というと、それだけ印象的な訪問、商品、お
話だったからです。3月からも展示会が結構続きます。印象の強い展示会、
出展社が多いといいな、と、思います。
次のレポート、楽しみにしていただければと思います。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
3/20に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
【Web学校見学を随時受け付けています】
授業見学のご予約は下記URLから予約フォームでお受けしています。
https://www.tfac.ac.jp/学校見学予約カレンダー/
♦資料請求・学校見学・WebオープンカレッジがLINEで簡単に
申込ができるようになりました。
お友達追加お願いします♪♪

♡tfac Instagramフォローお願いします♡
@tfac__official

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



