海外生活と海外留学 | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

海外生活と海外留学

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『ANNE VALERIE HASH 澤田氏 × tfac STAFF 前川先生』 対談

 

 ――海外のアパレル業界で活動しようと思ったきっかけを教えて下さい。

前川: 私は、高校卒業後に語学学習でイギリスへ留学したんです。でも、帰国の直前に交通事故に遭い…。事故の裁判などで滞在が延びてしまったので、だったらイギリスで好きなファッションを勉強してみようと思ったんです。それで大学に入学して、セントマーチンズの大学院まで進みました。大学院の修了後は、海外で活動することしか考えていませんでしたね。ただ、それは自然の流れとしか言いようがないんですよ(笑)。

澤田: 運命的な経緯ですね。僕は、日本のアパレル系の専門学校を卒業後、フランスの服飾専門学校に留学しました。海外で活動しようと思ったのは、自分の技術を評価してくれた人たちがフランスにいたことですね。自分を評価してもらえると、そこで活動したいという気持ちになると思います。

 

——実際に海外でどのような活動をされてきたのでしょうか?

澤田: フランスの学校でオートクチュールを学んだのち、いくつかのアトリエでパタンナーとして働き、2000年にアンバレリーアッシュのアトリエチーフに就任し現在に至っています。
アンバレリーアッシュでは、全パターンの責任者として、デザイナーとともにパリコレクションに携わっています。

前川: 私は、大学生の頃からイギリス財務省でのグループ展やファッションTV主催のショーなどに積極的に出展していました。ほかにも大学院の卒業制作で2010年秋冬コレクションをロンドンファッションウィーク公式スケジュールで発表したり、ロンドン、パリでコレクションの展示発表をして…帰国後、tfacの教員になったんです。

 

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――海外で活動される際に、不安はなかったんですか?

前川: その時々の不安はありますけど、不安がっている時間はなかったですね。語学力にしても、相手にデザインの意図を伝えることで頭がいっぱいで…語学力の不安はすっかり忘れていました。英語を話せることが「目標」ではなく、デザインを伝えるための「ツール」に変わった瞬間に、上達していきましたね。 ――実際に海外で活動された当初、日本とのギャップで苦労した点は? 前川 くちベタだったので、セルフプロデュースにかなり苦労しました。「自分の作品を見てください」と言うだけでは通用しないんですよ。
とくにデザインは、どうにでも解釈できるので。観る人の主観をくすぐったり、操作するようなプレゼンをしないと評価してくれないんです。

澤田: ギャップという程のことはなかったのですが、語学をマスターしたら人格が変わるようになりました(笑)。
僕はフランス語を話すとき、日本語以上に言葉の表現を大切にします。フランスでは常に自分を表現し、常にリアクション出来る態勢にしておく必要があるので、おのずと自分の言葉の表現自体も変わります。

 

——海外のファッション業界で活動することのやりがいや、活動のしやすさとは?

前川: 基本的に自由で、若手の支援に企業が積極的です。
駆け出しの新人にとって、日本よりも活動しやすい環境ですね。あと、消費者の感覚も日本とは違います。
有名ブランドにこだわりがなく、良いと思った物に対して高額のお金を支払う。日本みたいに「これ以上の金額を払うなら、有名ブランドじゃなくちゃイヤだ」という考えが少ないですね。だから、私のような無名のデザイナーのアイテムでも、良いと思ってくれたら多少高くても買ってくれる。

 

——フランスでも支援などはあるんですか?

S2澤田: ありますね。企業が金銭的な援助をして、新人が育つという支援です。
弊社は世界のセレブリティーや海外のセレクトショップでも十分に認知して頂けるブランドに成長しましたが、それでも無名の新人を助けるアソシエーションが支援してくれています。新人に対する社会のオープンな姿勢は、フランスもイギリスと同じですね。

 

——これから海外で活動したいと考えている学生に、学生時代にやっておいた方が良いと思うことを教えて下さい。

澤田: 学生のうちに海外旅行をしてください。私は静岡県の田舎育ちなので、外国人をあまり見た事がありませんでした。だから、フランスに留学したときに、ちょっと身構えてしまって…。同じアジア人でも中国や韓国、台湾の方は、ひょっとしたら僕と同じような環境で育ったかもしれないけど、人種に対する垣根がない人が非常に多いです。
そして、自分がやりたいことはきちんと主張できる。そういう感覚を僕も学生時代から持っておきたかったですね。
トイレに行きたくても言えない自分が、ちょっとコンプレックスでした。

前川: 夢や希望に向かって突き進んでほしいですね。
若いときは、どの方向に進むかを悩むと思うんです。でも、本当に大切なのは、夢にかける情熱やスピード感、好奇心なんです。どこに進んだとしても、その結果は最終的に自分の役に立つはずです。だから、自分が信じた道を進んでほしいですね。

澤田: 前川先生のおっしゃるとおりですね。その進む方向として、やはり海外に出てほしい。卒業後に帰るつもりでも、永住するつもりでも。海外で身につく感覚は、日本では今のところ身につかないと思います。ぜひ海外で1年でも暮らしてみてください。たとえば、携帯の契約や、日本では些細なことでも、1つ1つが未知へのチャレンジで、その時は小さな経験でも、その積み重ねが必ず大きな知識に変わる時が来ます。そのような経験をぜひtfacの生徒皆さんにもぜひ味わって欲しいと思います。



S1澤田 匠さん
ANNE VALERIE HASH チーフアトリエラー

パリ在住。ANNE VALERIE HASH全パターン、アトリエ責任者としてパリコレクションに携わる。ショーバックステージのディレクターも兼務。

 









M1前川裕介
先生
tfac アパレルデザイン科担当

2010年セントラルセントマーチンズ修士課程修了。

英国財務省グループ展、ファッションTV主催のショーなどに多数出展し精力的に活動。 2010年秋冬ロンドンコレクション、パリコレクションでの展示発表。