~就活室便り#49~ News of the World | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

~就活室便り#49~ News of the World

~就活室便り#49~ News of the World

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。昼間はともかく、
朝が結構冷えてきて、毎日何を着ていくべきか非常に悩みます。昼
との寒暖差も結構大きいので朝に合わせると昼に汗かいてしまった
り、かといって朝寒いのをひたすら我慢するのもなんだかな、とい
う感じがして毎朝今日はどの服を着ようかは悩みの種です。以前も
お話ししましたが当日の天気予報が始まるのが6時半くらいでそれ
までは昨晩の予報なので正確さにだいぶ差があります。前夜の天気
予報を信じてその気温対策して外出、その後にへっ?て思うことが
多々あります。朝の新しい天気予報では前夜の予報から訂正になっ
ていた、という話を本当によく聞くのですがなんかこういう細かな
点が遠距離通勤者のつらいところですよね。通勤距離が短く朝ゆっ
くりめに家を出る方はその時に日が昇ってない、ということもあり
得ないので寒暖差だって少ないはずです。これだけ高くても東京の
マンションに住みたい気持ちもよくわかりますね。そんなに良いと
思うんだったら私も東京に住めばいいじゃないか、とお思いになる
かもしれませんが、まず先立つものがないのでこればっかりはどう
しようもありません。今でも本籍は東京なのですが、もう少しで東
京で暮らしていた年月より今住んでいるところの暮らしが長くなり
ます。なんかのついでに本籍を移してしまおうか、と、ちょっと思
うのですが、諸手続きの煩雑さを考えるとやっぱりやめた、となっ
て現在に至ります。でもいくら考えても今後東京都内に引っ越す可
能性って、まずありえないと思いますね。家の庭から石油が出ると
か、金が採れるとか、そうなれば別ですけど。

まあ現在の住所に不満があるわけでもないし、むしろ気に入ってい
るのでたぶんこのまま遠距離通勤を続けていくんだと思います。毎
朝晩我が家にやってくる地域猫のお世話もありますし、確かに辛い
ところがないとは言いませんがあまり住むところを東京に限定して
考えなくても、多少遠くても楽しいことはいっぱいあります。睡眠
時間だけは十分に確保するようにして、遠距離の皆さん、通勤通学、
頑張っていきましょう。

 

今回は東京テキスタイルスコープの第2回目のレポートをお送りしま
す。今回は日本の衣料生産技術のプロモーションコーナー、「Japan∞
QUALITY JAFIC」のコーナーのレポートをおおくりいたします。こ
のコーナーが常にお客様でいっぱいでなかなかお話をお伺いするの
も難しいかな、と、思っていたのですが度々コーナーを訪れている
うちに何社かの方とお話をすることができました。まず最初にお話
をお伺いしたのは株式会社マルチョウさん。カットソーの専門工場
です。まず写真をご覧ください。

この写真に写っているのは全てカットソーです。ニットの細番手の
ものをきれいに縫うのは本当に難しいのですが、ほぼ絶盤になって
いるような昔からの機械を改良して使っているとのことで、ちょっ
とその仕上がりの素晴らしさにはびっくりします。オリジナル技術
をあんまり公表するのもはばかれるので接写写真までは撮りません
でしたが、縫い代なし、縫い目の見えない縫製、等オリジナル技術
には目を見張るものがあり、それは多分素材の前処理から始まる全
工程での丁寧な仕事に他なりません。これだけの技術、製品制作が
賃加工のみでは勿体なすぎると思っていたら、逆にファクトリーブ
ランドを商社、アパレルに売り込んでいるそうです。本当に縫い代
レス、縫い目レスとなると従来とは服の作り方が全く変わってしま
うためファクトリーブランドの製品を基に自社用にアレンジを依頼
した方が結果早くて良い製品ができるような気がします。そんなア
パレル宛に製品の提案営業をしていくお仕事でも、当然縫製職とし
て入社し、もの作りを学んでいくことでも、学ぶことがたくさんあ
る、楽しく充実した社会人生活が送れそうですね。営業の起点、本
社は墨田区に、工場は栃木、福島、東北にあります。さすがに東京
で縫製工場を大々的に展開するのは厳しそうですが、たとえ栃木、
東北に引越したとしても得るものは大きいと思いますのでカットソ
ーを学びたい方はぜひどうぞ。今後OEM、ODM営業ってアパレル
企画で1番大切な仕事になっていく気がします。製品提案で1番大切
な点は他社との違いがはっきり示せることなので、独自の技術を持
っていることに勝るものはありません。アパレルがむしろ販売に力
点を置きつつある現在、ものづくりにみなさんの中から挑戦してい
く方が少しでも増えていってくれたらな、というのは私個人の希望
ですが、世界に挑戦する、って言ったらやはりものづくりが根本に
ないとできないことなのでぜひ挑戦していただきたいと思います。
マルチョウさん、良いものを見せていただいて本当にありがとうご
ざいました。

 

ビクーナ、というラクダ科の動物がアンデス地方に住んでいます。
この動物からとれる毛はビキューナーと呼ばれ、獣毛の中で1番細い
毛として有名です、と言いたいところですが、みなさんの中でも知っ
ている方は少ないと思います。というのも、毛の細さも1番ですが、
値段も1番で、ちょっとカシミアレベルとは比較になりません。ビキ
ューナー100%の素材で婦人用90cm丈のコートを作ったら大体4〜5百
万くらいの上代になるので一般の方の目に触れることもあまりありま
せんし、基本的にはオーダーメードになります。現在ではワシントン
条約で厳しく規制されていてなかなか自由に買うことはできません。
これは噂ですが、ワシントン条約が施行される前に毛織機屋でビキュ
ーナーの原毛を備蓄したところがあるそうです。上皇様がご即位なさ
れた時にそのビキューナーで毛布を作って献上された、という噂は当
時のテキスタイル業界では有名な話ですが、いずれにしろ真実を確か
める術はありません。ビキューナーの毛布、夢に見るしかなさそうで
す。

そんなビキューナーの名をこの展示会で久々に見ました。正確にはビ
キューナーとカシミアの混紡ですが、そんな貴重な糸を見せてくれた
のが東洋紡糸工業さんです。写真が小さくて申し訳ありませんが1番手
前のキャメル色のカウンターがそのビキューナーカシミアです。ご説
明ではビキューナーも他の繊維と混紡するとワシントン条約に引っか
からない、ということでカシミアブレンドの糸にした、ということで
した。

実際にオーダーがあったのは有名な子供服メーカーで、新生児用おく
るみ用の生地として使用し、ということは用尺1mなんて絶対にかから
ないとは思うのですが、上代100万以上のものだったそうです。その値
段でほんの数ヶ月も使わない新生児用おくるみをどんな人が買うのかな、
と思いますが、ドバイ近辺から結構なオーダーがあったようです。あの
中東で保温性抜群のおくるみが必要か、といえば必要はないんでしょう
けどとにかく、お金持ちっていうのはそういうもんだということですね。
多分必要性としてはそれだけ価値のあるものにお金を使える、というこ
とが最重要事項だということだと思います。とにかく、その値段に見合
う価値があれば必ず誰かが買ってくれる、ということでしょうか。まあ
今回この素材が話題の中心というわけではないので先を急ぎたいと思い
ます。

東洋紡糸さんはカシミヤ、シルク、ウールを中心に自社工場で原毛から
糸の生産をしていらっしゃいます。染に関しても糸染め、トップ染めと
もに対応し、商社、ニッター等に収められており、販売、生産とも海外
にも積極的に進出し、現在では島精機製作所の一員として幅広く活躍し
ていらっしゃいます。その技術はワンアンドオンリーと言えるもので、
例えばシルクの糸は基本的に光るものですが、特殊コーティングを施し、
光沢を抑えるとともに縮みも抑えてウオッシャブルにしてしまい、メン
ズのポロシャツとしての提案をしていらっしゃいます。男性があんまり
光るものはちょっと、というようなお話をされていましたが、シルクっ
て、本当に肌触りがよく吸汗性に優れ、不思議なのですが夏は涼しく冬
は暖かい素材です。下の写真をご覧ください。

 

このグリーンのポロシャツがシルクです。写真でも光沢が抑えられてい
るのがわかるかと思います。

やはり主力はカシミヤとウールなんだろうと思いますが、カシミヤに関
しては、毛皮に対抗すべく、「ファーカシミア」、というニットも作成さ
れていました。写真をご覧ください。

 

 

軽くてあったかくて表面変化に富んでいる、一番アウターに着たい素材
ですね。

こんな魅力ある糸を各種展開していらっしゃいますが、それには糸の知
識だけでなくそれを編みたて完成したニット生地の知識、それを製品に
した時の知識も必要になるのですから、大変だとは思いますけど面白い
お仕事ですよね。服作りも元をたどれば糸づくりにたどり着くわけで、
企画、提案は商品の、生地、アパレル製品の、市場の知識を十分学んで
いく場になると思いますので、若いうちにぜひ挑戦していって頂きたい
と思います。アパレルや繊維商社で活躍されていた方がもの作りの深み
にはまり生地作りの機屋に転職したとか洗工場に転職したとかいう話を、
実は各産地で結構聞いたりします。糸生産も、それに負けず劣らず奥が
深そうです。東京の事務所は日本橋の高島屋近くにあります。東洋紡糸
工業さん、私も一度お伺いしようかな、と思っています。みなさんもご
興味のある方はぜひコンタクトをとってみてください。

 

このJapan∞QUALITY JAFICのコーナーで試洗のイベントを開催されて
いたのは以前ご紹介した内田染工場さん。板締染という、木の板で布を
挟み、その部分が染まらず柄になる、という加工の実演です。下の写真
でお判りいただけるでしょうか。

前からだと大勢の見学者の邪魔になるので後ろからの写真しかありませ
んが、こうして染めた布はこんな柄になります。

 

すべてハンドで染めていくので確かに大変ではありますが世界に唯一の
色、柄を作成することも可能です。内田染工場さんはミラノをはじめと
するヨーロッパだけでなく広くアジア各国にも出展、販路を広げていっ
ていらっしゃいます。これからもこういった技術をどんどん世界に向け
てアピールしていっていただきたいですね。当校から歩いて行ける距離
でもあり、来年もまた学生とともに工場見学にお邪魔できたらと思って
います。

最後にご紹介するのは岩手モリヤさん。岩手県久慈市で操業されている
縫製工場さんです。まずは写真をご覧いただきましょうか。

 

 

とあるアパレルの主力となっている定番コートですが、その後ろのベー
ジュのジャケットも持つから腕の形に袖がカーブしているのがお判りでし
ょうか。それだけでなく胸にしろカーブしているところはすべてカーブし
ています。このくせ取りという作業は非常に大変で普通この加工を依頼す
ると当然別料金なのですが、この岩手モリヤさんはそんな技術を取引先と
の信頼関係に応えるため惜しまず使っているそうです。それ以外にも超高
級オーダー紳士服にしか使わない八刺しと呼ばれる襟の加工等、難易度の
高く手間のかかる手法をこれでもか、と使っていらっしゃいます。まあい
ずれにしろその製品の仕上がりはきれいすぎてちょっとびっくりなのです
が、高い技術を持った職人が最新の機械を駆使して丁寧に作ればいいもの
ができる、って言葉でいうのは簡単ですが実際にやるとなったら相当大変
で、革新機械を導入し、工員による完成度の差を少なくし、しかも工員は
洋裁技能士2級を入社1年目で取得、それに対し毎月技能手当を支給してい
る、というすべてにハイレベルを維持している、という工場はめったにな
いです。経産省が選ぶ「次代を担う繊維産業企業100選」にも選定されて
いて、この工場に依頼したら製品の出来が全然違う、という評価がアパレ
ルから来るのはまさに当然の結果といえると思います。もう一枚写真を見
てみましょう。

一応某アパレルの主力商品なのであまりブランドネームや全体のシルエッ
ト、柄がわかるようには撮影はしなかったのですが、実は左側の ボーダー
のジャケット、生地自体が全くの手織りです。みなさんつるの恩返しの話
は絵本で読んだことがあると思いますが、まったくその絵の通りの織機で
の完全な手織りの生地です。それを各箇所丁寧に丁寧に仕上げたのがこの
ジャケットです。縫製工程も本当にびっくりするくらい細部に手が込んで
いて、しかもそんな手織りの生地は生地幅が非常に細く、型入れ、生産工
程とも機械生産の生地と比べてがくっと落ちます。生地も、縫製も、そん
な大変な思いをして作る製品なので、ショートジャケットで30万近くの上
代というのは納得できるというか、むしろ安いくらいかもしれません。と
にかく久々に良いものを見せていただいてごちそうさま、という感じです。
縫製技術者を目指す方、ここで修行したらうまくなりますよ。

少し前に繊研新聞で「縫製業のリアル」という連載が掲載されました。日
本中の縫製工場からアンケートを取り、現在の問題点、今後の課題を浮き
彫りにしていく、という連載でしたが、そこではこの岩手モリヤさんの森
奥社長のインタビューも何回かに分けて紹介されています。今回会場でお
伺いしてもやはり最大のネックは加工賃ということで、洋服の上代が上が
らなければ基本的に加工賃は上がらないんだ、とおっしゃっていました。
米だけでなく食品に関しては毎日のように値上げ値上げのニュースを目に
しますが、衣料品に関しては上代が上がればただ単に買われなくなるだけ
で好況感は全くありません。結局コストを考えると海外素材で海外生産、
ということが定番になってしまい、手間をかけ作った細身のシルエットで
も着やすい、動きやすい、そして形のいい服、ということから遠く離れた
製品ばかりになっていきます。それでも今まで何とかなってきたのは昨今
のルーズシルエットの流行が続いてきたからでもあり、それが特にヨーロ
ッパではタイトシルエットが復活してきていますので、今後その変化にど
う対処していくのか、日本のアパレルに結構難問が残っています。上代と
コストばっかり気にしているうちに本当にお金持ちが着たい着やすくて高
級感のある服がどんどん少なくなっているんじゃないか、そんなお金持ち
達がどこの製品で満足するのか、といったことを考えたら逆に世界のラグ
ジュアリーブランドが日本製の生地で日本の縫製に目をつけているようで
す。もう生地は日本製のもの使用は当たり前になってきましたし、加工含
めたデニムは生地、縫製、後加工すべて日本製が当たり前になってきまし
た。そうすると変な話で日本のアパレルだけがメイド・イン・ジャパンか
ら外れていってしまうような感じで数年後には本当になんだかなあ、とい
うような感じになる可能性もあります。岩手モリヤさんの森奥社長も海外
進出をしきりにおっしゃっていました。隣のブースがファッションしらい
しさんで、社長がいらっしゃらずご挨拶はできませんでしたが以前から海
外ラグジュアリーブランドの受注をしていらっしゃる工場です。日本の縫
製工場が世界を目指す、それは将来的にかなり可能性のあることで、それ
は処々の困難が伴うのは当然のことですが技術的、そして今の為替を考え
ると経済的にも訴求力は相当高そうです。そのうち日本の縫製工場が海外
の仕事でどこもいっぱいで日本の仕事は受けられません、ていうような時
代が来るかもしれません。いずれにしろアパレルだって国内販売だけでは
頭打ちで結局海外で成功しなければ成長の道はない、というのがユニクロ
さんを見ていても明らかなわけですから業界全体で海外に挑戦し、危機を
乗り越えていかなくては発展はないと思います。いずれにしろ岩手モリヤ
さん、海外も含めて頑張っていってほしいです。学生の中からも挑戦者が
出て、この高度な技術を引き継いでいっていただけたらと思います。

 

前回と合わせて2回にわたり東京テキスタイルスコープのレポートをお送り
いたしました。

 

タイトルの「News of the World」というのはバンド・クイーンの6枚目の
アルバムで、特にオープニングのWe Will Rock YouとWe Are The Champions
という2曲が彼らの代名詞と呼べるような曲になっています。日本の素材、
縫製、染色が世界を震撼させるニュースになって、いつかチャンピオンにな
るといいですね。なんかそんな日を夢見てファッション産業に挑戦していく
みなさんを応援し続けていきたいと思います。

 

次回はまた別の展示会レポートをお送り出来たら、と、思っています。

 

空気が乾燥しています。お体にはじゅうぶんお気を付けください。私は喉が
痛くなってきました。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

12/21に開催予定です。

 

詳しくは下記よりご確認ください。

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