~就活室便り#45~ Kimono My House | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

~就活室便り#45~ Kimono My House

~就活室便り~#45 kimono My House

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。やっとちらほらと
肌寒い日もでてきましたが、それも朝晩だけだったりして昼間は結構
暑いですよね。ちょっといろいろ着るものは悩むんですがやはり中心
は半袖で、それに何か羽織るものがいるかいらないか、というところ
ですよね。それでも季節は順調に進んでいて、この前今秋初めてのオ
リオン座を見ました。それが見られるって、いったい何時に起きればい
いんだって言う話もありますけども、まあそれは置いといて、季節は少
しずつ進行していてそれになぜか気温が追い付いていない、という感
じですよね。追いついたらいきなり寒くなる気がしないでもないです
が、まあそれまでは半袖生活を十分に楽しみたいと思います。結構羽
織るものは集めてみたんで、思ったより楽しい毎日が送れるんじゃな
いかな、と思っています。気候変動を嘆いてばかりいるより新しい楽
しみを見つけるほうがよっぽどいいですよね。こういうところからフ
ァッションもどんどん変わっていきそうですね。

 

気候だけでなく政治、経済、文化、等々社会の変化にファッションは
影響を受けない、ということはありません。というより、むしろ積極
的に社会の変化に敏感に反応し、むしろリードするようなところもあ
ります。そんなファッション業界の、現在では日本最大級となるイベ
ント、ファッションワールド東京が10月1日から3日まで東京ビッグサ
イトにて開催されました。今回はそのレポートをお送りしたいと思い
ます。

 

海外生産、素材、高機能素材、サスティナブル、リユース、等いろいろ
な切り口で見やすいように各出展者が区分されています。入口から一番
近いコーナーが、アジアの縫製・生産工場EXPO、というくくりで、こ
こで海外の工場、メーカーが出展しているのはまあ当然、と思いいろい
ろ眺めながら通っていたのですが、これが一向に終わらずどこまでも続
きます。結局サスティナブルも素材も高機能製品も海外、というよりは
中国メーカーばっかりで結局9割の出展者が中国、韓国含めたその他の
国が5%、それ以外が日本、という印象です。このリポートでは基本的
に国内のメーカーしか紹介しない、それは以前にもお話ししましたが、
いきなり海外、特に中国のメーカーに新卒で入社する、というのがまず
絶対無理だからです。経験を積んで転職、という可能性はあると思いま
すがいきなり新卒で臨むのは悲しい結末が待ち受けているのは、火を見
るより明らか、というか、いずれにしろ新人を育てる気のない企業に行
っても結局育てられないだけなので、いずれにしろ「就活室便り」、とい
う主旨からは外れるし、インド、フランス、イタリーは意匠的に見るも
のがあるので紹介したことがありますが、少なくとも今回の中国からの
出展者で意匠的に紹介すべきメーカーはありませんでした。唯一内蒙古
から出展のメーカーはちょっといいな、と思いましたけどそれはあくま
で素材の話で意匠的に優れてるわけではないので今回は割愛しました。
でも、シルクカシミアの細番手のものとか、本当に風合いはいいですよ。
みなさんも触る機会がありましたらぜひ触ってみてください。

 

とにかく日本のメーカを探しているうちに会場の端がすでに見えてきて、
今回はレポート無しかな、と、思っていたのですが、ブランド&デザイ
ナーEXPO、というコーナーがあり、小さなブースで多分一人、もしく
は数人でブランドを立ち上げられたのかな、というようなブランドが並
んでいます。ただやはり極小のスペースなのでお客様が一人訪問すると
ブースがいっぱいになってしまい、その中で見たいな、と思ったブース
はほとんど来客中だったので後で寄ろうと通り過ぎ、別会場のメガネ展
を先に見ることにしました。

 

そのメガネ展の会場ですが、実はすごく盛り上がっていて、むしろ静か
に感じられたアパレル会場とは大違い、まさに熱気にあふれていました。
ただこちらも全国眼鏡店を対象としたショーで、大手チェーンなどの出
展はなく、フレームメーカー、等が中心となっており、はなはだ専門外
領域で、1件だけお邪魔したブースはインポートのカラフルな老眼鏡を
扱っているブースのみで、会場では現物販売していない、とのことで
ネットのURLをお伺いしただけで会場を後にしました。メガネ業界も
大手チェーン店には就職する学生が出てきてはいるので、メガネ業界、
これだけ盛り上がるなら今後の勉強材料として考えて行きたいと思い
ます。

 

というわけでまたアパレルブースに戻り、先ほどお話をお伺いできな
かった極小スペースのブースにお伺いすることにします。とにかくま
ずお話をおうかがえる順に、空いているブースから訪問していきます。

 

まず最初にお伺いしたのはシロニセカイさん。着物の帯を利用して
リメーク、というよりはまったく新しい製品として生まれ変わらせ
ています。まずは写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着物部分は基本的にパーツとして使用し、よくありがちな和の世界に
どっぷり、というようなテイストにはなっていません。総使いなのは
ネクタイ、等の小物のみです。次の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

総柄のものも柄のどの部分を出すか、などデザインでは大変ご苦労な
されているようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういうのが一番いいのかな、と、思いました。ベストのサイドもい
いですが個人的にはジャケットのポケットのフラップ、袖の折り返し
に使っているのが一番いいかな、と、思いました。特に袖の折り返し
が非常にいいかな、と思っていて、昔、某デザイナーブランドで使用
したというジャガードを中国で拝見したことがあります。よくある黄
色やオレンジのいかにも中国、ていう感じのジャガードの生地を真っ
黒に染めて、モノトーンで有名なブランドにジャストフィットしてい
ました。今回の陳列のブルーグレーのジャケットの写真をご覧いただ
けたと思いますが、イタリーにも和にも行きすぎず、あくまでもシロ
ニセカイさんオリジナルとして完成度が高いかな、と思います。

代表の櫻庭さんは自らインフルエンサーとして活躍されながらこの新
しいブランドを立ち上げ、当然企画から営業から何からすべてご自分
でこなしていらっしゃいます。ニューヨークでの出展をはじめ世界を
視野に入れ、仕事は基本的にオーダを中心に一つ一つ丁寧にこなして
いっていらっしゃいます。着物の帯の持ち込みでの依頼も可能で、ま
さに世界に一つだけの服をオーダーでき、また余計な在庫を抱えなく
て済むため、在庫リスクや値下げ、といった可能性もなく、少人数で
の運営には最適なスタイルになっていると思います。一点ものだと余
計全体のどの部分の柄を表に出すのか、無地との面積を含めた対比、
コンビネーション、等、専門知識を要求される部分が多く、当校学生
がお伺いしたとしてもすぐにお役に立って、ということはあまり可能
性はないかとは思うのですが、学校の勉強より実際店頭に立って、お
客様のパーソナルコーディネーターとして経験を積んでいくうちに色
柄のコーディネートはおのずと身についてくるものだと思います。実
際そういう経験を重ねていき、自分のファンとなるお客様も作り、そ
うして少しずつ輪を広げていけば櫻庭さんと一緒にお仕事することも、
自分でオリジナルの企画の商品を開発し発表していくこともできるよ
うになると思います。現場での体験、ってそれだけ本当に貴重なので
みなさん、卒業後もどんどんどんどん勉強していってくださいね。数
年後にこんな会場でみなさんにお会いできることを期待しています。
今回はお話だけでなく、ここに掲載した写真も櫻庭さんから頂いたも
のを使用しています。様々なご協力、どうもありがとうございました。

 

次にご紹介するのはasOBI to kimonoさん。こちらもクリエイターの
caraさんがおひとりで運営していらっしゃるブランドで、ジップアッ
プ、コルセット型の帯を展開していらっしゃいます。どんなものかあ
まり想像がわかないかと思いますのでまず写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この前からの写真で見て頂いてちょっとわかりにくいとは思うのです
が、サイド(左脇)はファスナーオープンになっていて帯を締めずに
そのまま装着可能です。後ろはレースアップになっていて、簡単にサ
イズの調節が可能です。前から見たらどう見ても普通の帯ですよね。
Caraさんは元々の着物好きから始まって、普通の帯の着脱が手間がか
かること、途中できつくなったとかゆるくなったとか、幅の変更が難
しい、等の問題をいかに少なくしてより着物を着る機会を増やすか、
というところからアイデアを練り、製品化まで持っていかれたそうで
す。そして帯を締めないということでサイズ、着脱以外に新たな特徴
が生まれました。その一つは、裏側は裏地処理になるためポケットが
つけられるようになったというところです。写真をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして裏地にポケットがついているので携帯をはじめとして結構い
ろいろな物が帯の中に収納できます。普通の帯に挟んだら携帯とかは
下から落ちてしまいますし、これぐらいのポケットがあるだけでほぼ
バッグなしの外出もできるようです。

そして、この帯の表地をちょっと見てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな起毛やスパンコールのついたものは普通の帯にしたら締める際
にひっかけたり擦れたりして絶対すぐに痛みますよね。ところがこの
帯は普通の帯のように結ぶ必要がないのでどんな生地も使用可能です。
下の写真のように全面スパンコールの生地も使用可能です。これが普
通の結ぶ帯だったらすぐスパンコールが取れるか、折れるか、生地の
ほうが先に痛むか、そのどれかだと思いますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縫製技術者は募集中ですが、ひたすら裏地を縫う、等地道な地道な作
業の担当しか最初はないかもしれません。それでも和装にご興味のあ
る方は少しずつでも大好きな着物の世界が近くなりますよ。お気軽に
着物をお召しになりたい方、外国人観光客、あるいはやりようによっ
てはワンピースにも使用できるようになるのか、使いみちはいろいろ
広がりそうですし、結構、メンズもありですよね。ほどけてこないっ
ていうのもうれしいポイントですし、レジメンタルストライプ帯なん
て結構良い気がしませんか?なんか今後の展開がとても楽しみです。
着物の素材の方も、新たにいろんなバリエーションが増えて行くかも
しれませんね。こんなところから着物が民族衣装の一つ、という位置
から脱却していく可能性があるかもしれません。とにかく今後注目し
て行きましょう。

次にご紹介する企業ですが、まずは画像をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大から小まで様々な米袋をリユースしています。元々30キロを入れ
られるような袋なので丈夫なのは間違いありません。そんな米袋バッ
グと一緒に陳列してあるのはこんな商品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和柄のシャツが勢ぞろいで、この2アイテムを展開しているって、いっ
たいどんな会社なんだろう、と思ったらGSIアブロスさん、という会社
で、名前の通りGSIクレオスグループの企業さんでした。GSIクレオス
さんは、私の年代からすると、グンゼ産業、という旧社名のほうがご存
じの方は多いと思いますが、そんな大企業の1グループが今はサスティナ
ブルを意識した商品を展開し、日本の伝統のリスペクトから生まれた商品
を展開しているって、やはり時代ですよね。当然、本業として靴下、下着
のブランド展開があってのことではあるのですが、米袋が実は大量廃棄に
なっている、というのはやはり商社としてのGSIさんの動きから明らかに
なったものかもしれませんし、和柄に関しては、インクジェットプリント
ではなく、従来からの型を使った伝統的な手法でプリントされているよう
です。伝統技術の継承って、簡単なようでなかなか難しいところがあって、
型を使うということは一色ごとに1枚の型が必要になり、当然その型は木
枠で囲んでいないと工業製品としての効率、仕上がりにはならないので木
型に入れます。詳しく確認したわけではないですが、今回陳列されている
商品は10型前後の商品が多いかな、と感じました。1柄10型使うとすると
その木枠のとるスペースだけでも大変になります。最近流行のインクジェ
ットプリントはデータさえあればいいわけですからこれは保管場所が必要
ありません。場所効率も、その10枚を1枚1枚移動させながら染めていくそ
の手間を考えても、現在では昔からの手法を維持していくのはどんどん難
しくなってきています。それでもインクジェットと従来のプリントとは色
の浸透度にだいぶ差があり、表から圧力をかけて染める従来方法のほうが
深く染まり、特にインクジェットはまず裏まで染料が浸透することはなく
裏から見ると真っ白、というものが多いです。写真のシャツはボタンを留
めないで着ることも多いかな、と、思いますが、時たま見える裏側が真っ
白だとちょっと格好悪いですよね。そんな配慮にもなっているし、お米バ
ッグは使えば使うほど自然なしわが増えていって自分だけのオリジナルバ
ッグになりそうです。SDGsもあんまり堅い取り組みばかりだと疲れてし
まうので、こんな遊び心を感じさせる取り組みを応援していきたいですね。

 

と言っているうちに紙面的にはだいぶオーバーしてしまったようです。今
回ご紹介した3件の出展者以外にSDGs関連でご紹介したい企業が数社
ありましたのでそれはまた次回にご紹介したいと思います。今回は少し
「和」を感じさせる企業さんを紹介しました。みなさんそれぞれ独自の問
題を独自の発想から解決、発展させてまったく新しいジャンルの商品を展
開していらっしゃいました。今さら言われなくても、と思いの方も多いと
は思いますが、新商品の3原則、というのはいつも変わらぬ不変の法則だ
とおもいます。すなわち:

 

〇 より良い

〇 より安い

〇 差異がある

 

の3つです。今回は今までにない、今までのものとは差異がある商品をご
紹介いたしました。現在アパレル製品のデザインはある程度出尽くした感
もあり、特に新進デザイナーの方は他との差異を覆い求めすぎて過剰装飾
になったり奇抜すぎたりする傾向があるのかな、と思ったりします。逆に
既存ブランドは1点1点の商品の装飾性よりもトータルの世界観の提案、と
いったほうが多いのでむしろ各アイテムごとにみるとオーソドックスだっ
たりします。新進ブランド、となるとどうしてもオーバーデコレーション
になるのはしょうがないのかな、と、思いながらいろんな展示会で拝見し
たりするんですけども今回ご紹介した商品は今までにまったくなかった商
品群なので当然オーバーデコレーションの必要も全くなく、その分完成度
が高かったと思います。今後の展開にどんどん期待していきたいですね。

 

スパークスが「Kimono My House」というアルバムをリリースしたのは
1974年、その頃のイギリスでは着物も、男性のファルセットボーカルも
ジェンダーレスなメンバーも目新しく、かなり異彩を放ったアルバムで
したが、ここから影響を受けたミュージシャンはかなり多く、1曲目の
「This town a’int big enough for the both of us」は数多くのミュージシ
ャンにカバーされ、今では歴史的名盤となっています。今回新商品を展
開されたこの3件が何十年後にもそうやってフォロワーが増え続けいてい
ることをお祈りしつつ今回は終わりにしたいと思います。次回はSDGsで。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

 

スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

11/16に開催予定です。

 

詳しくは下記よりご確認ください。

体験入学申し込み    こちら

https://www.tfac.ac.jp/open_college/

 

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