~就活室便り#48~ Now and Then
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。11月ともなると、気温も
急に下がり、毎日いったい何を着ていいのやら迷いますよね。朝寒くないよ
うに暖かい恰好をすると昼暑かったり、それで上衣を脱いでいたりすると夕
方急に寒くなったり、なんだか忙しい毎日ですよね。とにかく空気がまた乾
燥してきて真剣に保湿を考えないといろんなところがかさかさしてきてかゆ
くなってきますし、当然、毎日家を出るときは真っ暗になりました。日の暮
れるのも早く、実は11月が一番暗くなるのが早いそうです。その後はどんど
ん日の出が遅くなっていって、むしろ日の入りは遅くなっていくのですが、
昔から11月の夕方に外出していると、暗いし寒いし早く家に帰りたくなりま
す。だからって冷静に考えればまだ4時台なので直帰するには早すぎ、結局
職場に戻るのですが、11月の夕暮れは毎年何か物悲しいです。そういえば4時
とか5時とかに家に帰れるって、本当に何十年もないですね。ひょっとした
ら高校生の時以来かな、と、思ったりもしますが5時に帰宅して7時前から夕
食って、ひょっとしたら夢の生活かもしれないですね。毎日そんなペースで
暮らせるのはあと何十年後かな、と思いますが、それまでは11月の夕暮れの
もの悲しさを十分に堪能できそうです。といっても実はそんなにありがたく
はないのですが。まあとにかく寒さにも暗さにも負けずに頑張っていきまし
ょう。
今回は11月12日から14日までの3日間開催された東京テキスタイルスコープの
レポートをお送りしたいと思います。ジャパンクリエーション/プレミアム・
テキスタイル・ジャパンから名称変更し、開催会場も東京国際フォーラムより
東京都立産業貿易センター浜松町館へと変更になってから2回目、名称、会場、
コンセプト変更がどんな効果をもたらすのかにも興味があるところです。それ
を含めて本来なら一番来客の多い初日に訪問すべきところですが、今回は諸所
の事情も相まって2日目、13日にお伺いしました。それでも外は寒かったです
が、会場内は結構熱気にあふれ、汗かくくらい暑かったので展示会としては盛
況な部類に入るんだと思います。出展者、展示内容、テーマ、等前回から変わっ
ているところも多く、そんな変わった点を含めて各ブースの内容をご紹介してい
きたいと思います。
総合受付から入ると、まず生地のインデックスのコーナーとトレンドコーナー
があり、各社の主力素材がずらっと並んでいます。写真をご覧ください。


こんな形で各社の次期主力素材がずらっと並びます。それ以外に運営委員会
より各社に4つのコンセプトテーマが示されていて、そのテーマに基づき開
発、配色した商品がテーマごとのブースに並びます。まず最初のテーマは
「夜間飛行」。ダークカラー、ブルーのバリエーションを中心としたエレガ
ンスゾーン主体の素材が並びます。写真をご覧ください。

「ロマンチック」がテーマとなっており特殊加工商品が多くみられます。遅
れましたが、今回の対象は2026年A/Wです。来年2月からは2027年S/Sの展
示会が始まります。相変わらずファッション業界の企画は早いですよね。そ
れでも早期の企画っていつもわくわくさせてくれるところがあります。毎日
毎日次のシーズンのことを考えている生活って、結構いいですよ。みなさん
も将来は企画職でぜひそんな楽しみを味わってください。
次のテーマは「ウエーブパフォーマンス」です。こちらは一転して明るい色を
使った、スポーティーテースト。ビビッド、メタリック、アートのような表現
が多くなります。そんなポップで明るい雰囲気が以下の写真でお判りいただけ
ますでしょうか。

やっぱりファッションは明るいに越したことはないですね。というのはあくま
でも個人的な感想です。
次のテーマは「あまねきの旋律」。ナチュラルテイストの素材を中心に、グレイ
ッシュパステルで展開されています。どのテーマがいいか、ではなくどのテー
マが好みか、自分に合うか、ということが重要なのでナチュラル好きな方はナチ
ュラルを選ばれて正解で、その中でトレンドが更新されていく、ということなの
で、何もみなさん全員ビビッドカラーを着なければトレンドじゃやあない、とい
うことではないです。私が個人的にビビッドなだけでナチュラルテイスト好きの
方のほうが圧倒的に多いと思いますのでご安心ください。ご安心ついでに画像も
ご覧ください。

カラーも少しブラウン寄りがトレンドのようです。ところでナチュラルの中でパ
ステルピンクはどうしたの?と、お思いの方もいらっしゃる方もいるかもしれま
せん。最後、4つ目のテーマはそのピンク中心の「ほっこり時間」、というテーマ
になります。写真をご覧ください。

秋冬らしくふわふわ、とか、温かさ、肌触り、等、優しさを表現した素材が中心
になるのかな、と思います。この4つのコンセプトに基づき開発をした素材を各社
がブースにて展開、というのがこの展示会の流れになります。そんなコンセプト
テーマを無視して展示会に参加したらどうなるか、と思う方もいらっしゃるかも
しれません。私は実はこの前身のジャパンクリエーションという展示会に出展し
たことがあります。その時の経験から言うと、結構各段階での主催者からのチェ
ックがうるさく(こんな言い方してすいません)、コンセプトを全く無視するのは
不可能に近いです。まあこれは余談となりますがご参考までに。
コンセプトコーナーの先には生地の人気投票コーナーがあります。48点陳列して
ある生地の中から各自3点ずつ選び、シールを張っていく、という形で投票してい
くのですが、前回は展示会スペシャルというか、実際に量産したら誰が買えるんだ
ろう?、というような手の込んだ、というより込みすぎた生地が受賞しました。今
回も参考上代の表記のない生地が結構ありましたが、私のチョイスは値段のあるも
ので実際その値段で製品を作って買える可能性のある製品上代に収まるもの、とい
う基準で投票しました。生地は美術品ではないので、ただ眺めて楽しむ、というよ
うなプライスの生地はどうかな、と思ったので。前回はリニューアル第1回目、とい
うことで、少しお祭りみたいな」コンセプトでもいいかな、と思ったのですが、今
回はまず実用になるもの、ということを重視した次第です。いずれにしろコンテス
トに参加した48の生地がすべて量産につながればいいな、と思います。ショーを飾
るのも必要ですが、やはりこの業界、売れてなんぼ、なんで。
東京国際フォーラムは横に広い会場でしたがこちらは何階かに分かれて展示、出展が
続くスタイルで、この総合受付、インデックスのある2階ではTORANOI、プルミエー
ルビジョンといった提携する海外の展示会情報、ニュークリエーターアワードの展示
と特集として日本製にスポットを当てた、J∞QUALITYという日本のものづくり、日本
の独自技術を持つ様々な工場を集めたブースが目を引きます。今回ここで長い間いろん
な工場さんとお話させていただいたのですが、今回はスペースの関係で次回にまとめて
レポートを載せます。今回は全体概要中心ということでご了承ください。
2階から始まり今回は5階会場まで使用、素材ごとに3階がウール・化合繊、4階が綿・
麻・デニム・刺繍・プリント・レース,等、5階がシルク、というようなフロア構成と
なっています。特に3階、4階は大盛況で、あまりにも来客の多いブースだと、こちら
は何も仕入れるわけではないのであまり商売のお邪魔するのもはばかられ、お声がけ
を遠慮したところも何社かありました。その勢いで実需につながっていったらいいな、
と、思います。ただ基本的に産元の出展が多いので、実際に購入するとなるとテキス
タイルコンバーターや商社を通じて、となる場合が多く、そうするとその場で値段提
示ができない、というような光景を何回か見ました。アパレル1社の生地の必要分量と
実際の生地製造に必要な最低数量がなかなか一致しないので商売としては難しいとこ
ろも多々あるのですが、それでも少しずつでも日本のテキスタイルが復権していった
ら、と願ってやみません。東レとかの大会社は商社の担当がべったりついていたりす
るのですが、他の中小産元は実需に至るまで長い時間を要しそうです。それにしても
大メーカーとしては東レさんだけが前展示会から引き続き皆勤賞で、その他、帝人、
クラレ、旭化成、等は影も形も見えません。各社上海インターテキスタイルには少な
くとも関連会社は出展しているので発注数量の違いと言われたらそれまでですが、何
とか日本のファッション産業の後押しをしてほしい、と思ってしまいます。
今回写真はありませんがそんな中孤軍奮闘されている東レさん、やはり新素材開発、
という点においてはちょっと並ぶものはないかな、と思います。この展示会で毎回東レ
さんのブースで目の保養ができることが訪問を続けている一つの理由となっています。
東レさん、今後も参加継続よろしくお願いいたします。
各産地の有名企業、継続参加の企業が多い、というかほとんどの中、今まであまり存じ
上げなかった企業の出展が数社あり、その中でお話をすることができた企業をご紹介し
ます。まず1社目は株式会社シャンブレーさん。会社は日本橋水天宮近くにあります。ま
ず商品の写真を見ていただきたいと思います。

別にパッチワークの生地、というわけだはなく、こういうパッチワーク柄の生地です。
そしてプリントでもありません。しかも地組織はヘリンボン柄になっていて、糸は杢
糸を使っていますので非常に立体感があります。その裏に袖だけ写っているタータン
ぽいチェックが見えるかと思いますが、大きく見ると下の写真のような生地になって
います。

ある意味こんな特殊な柄を自社で在庫を抱えているそうです。無地とか、チェック
でも千鳥とかグレンチェック、市松の白黒とかだったらまだわかりますが、これく
らいの特殊な柄となってくると普通なかなか見込み生産で在庫をリスクして、とい
うわけにはいきません。よっぽど市場分析していらっしゃるのか、自信がおありな
のか、得意先が量、質ともに充実しているのか、理由はよくわかりませんが、いず
れにしろインパクトのあるオリジナル素材が充実していることは間違いありません。
当然普通というか、こなしやすい素材も充実しています。写真をご覧ください。

東京の事務所で企画、デザインして生産は中国の工場で生産しているとのこと。アパ
レルデザイナーの新卒採用がなかなか増えない昨今、デザイナー志望者がテキスタイ
ルデザインを目指す事例が増えているようです。またテキスタイルデザインはもう服
作りに直結しているため、アパレル企業との付き合いもどんどん深いものになってい
きます。テキスタイル営業も絵型、製品を介しての対アパレル商談となりますのでデ
ザイナーとしての勉強がすべてにおいて役立ちます。デザイン、デザイナーのお仕事
をしていきたい方、テキスタイル企画はねらい目ですよ。このシャンブレーさんは
地下鉄水天宮前からも人形町からも近く、だれでも通いやすいのも魅力です。将来ア
パレルMD志望の方も含めて企画職希望の方、一度ご検討ください。
次にご紹介するのはチェルシーインターナショナルさん。「ceceposya」、という自社ブ
ランドで生地を展開されていて、本業はインテリアでインテリア生地、壁紙から空間
コーディネートまで幅広く展開し、一流ホテルをはじめ多方面で幅広く採用されていま
す。そんなチェルシーインターナショナルさんがceceposyaブランドで展開するのは和紙
使いをはじめとしたナチュラルテイストの生地です。写真をご覧ください。

レース、ジャガード、等の様々な表面変化の手法を使い、素材も天然繊維を中心とした
柔らかく優しい風合いのものがほとんどです。下の写真がメインの陳列の写真になります。

和紙って織物としてどうなの?と思う方も多くいらっしゃると思います。和紙は当然木の
繊維からできているわけですが、木からは実にいろんな繊維、製品ができています。試し
に並べてみると、
・紙(和紙も含む)
・レーヨン
・アセテート
・リアセテート
・テンセル
・リヨセル
・モダール
それ以外にも登録標章を含めるとかなりの数の繊維数となります。そして元が一緒な
わけですから紙を含めて皆近い特性を持ちます。肌に優しい、吸湿性に優れる、保温
性がある、等といったいい面から水に濡れると弱い、しわができやすい、等といった
デメリットの面も共通しています。そのデメリットを改良していったのがテンセル、
リヨセル、モダール等の製品です。和紙も現在では洗濯に強い糸が開発されほぼ洗濯
は問題なさそうですが、一緒に洗った洗濯物の中に色落ちするものが入っているとそ
の染料を吸って移染しやすいようです。いいところが逆に欠点になる例ですね。いず
れにしろ肌に優しく抗菌作用もあり自然な吸汗速乾素材で、最後には土にかえる、現
代に求められる数多くの特徴を持っているのが和紙という素材です。その良さをふん
だんに用いるだけでなく、意匠糸としても使用されているようで素材に立体感、表面
変化を含め数多くの特徴をもたらしています。次の写真は最初に紹介した生地の人気
投票コーナーでも大人気だった和紙を使ったメッシュ生地です。

産地は組織、混率、等によって様々、ということでした。こちらも企画はすべて
東京の事務所で行い生産を各地に依頼している、というスタイルなので、テキス
タイルデザイナーを目指す方はぜひご検討いただけたらと思います。環境、ウェ
ルネス、すべてに誇れる素材、和紙を使って企画をしてみたい方、要注目ですよ。
ちなみに、このブランド名セセポシャは、日本語の「せせほしゃ」、小声で話す
会話の意味らしいです。あくまで優し、というコンセプトが全製品に生きている
ようですね。
今回は東京テキスタイルスコープの全体概要とテキスタイルのブースのお話をさ
せていただきました。現在繊維製品の輸入率が98%を超え、日本の各産地も最
盛期だった1980年代から縮小の一途をたどっています。各繊維産地は時代遅れ
の織機は中国に中古品として売却し革新織機を導入、その分生地の最低生産数
量が飛躍的に増加してしまい、それが自らの首を絞める一員となったと思いま
す。それでも全工場が旧来の織機を売り渡したわけではなく、そうして残った
古い織機とベテラン職人の技術が現在いわれる「ジャパン・クオリティ」の源
となっています。そんな技術に目を付けたのはフランス、イタリーのスーパー
ブランドで、技術のある機屋の商品は輸出が中心となり、そのような高級生地
を喉から手が出るほど欲しがっているのが中国のアパレル、と生地を取り巻く
国際環境は劇的に変化しています。技術を研鑽し、感性を磨き、時代の変化に
対応していけば、まだまだ日本のテキスタイルには活躍の道があると信じてい
ます。今回、それを十分感じさせる盛況ぶりでしたし、そんな技術はテキスタ
イルだけでなく縫製業でも世界的に評価されるものとなっている、と感じます。
そんな縫製業界のレポートは次回おおくりしたいと思います。日本の技術、い
いですよ。あとは商売の仕方を少し学ぶ必要があるとは思いますが。でないと
海外の顧客は基本的に全員タフ・ネゴシエーターなので。いずれにしろ今後の
日本のテキスタイルに十分期待していきましょう。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
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詳しくは下記よりご確認ください。
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