古賀先生『interview』 | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

古賀先生『interview』

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古賀先生(テクニカルコース常勤スタッフ)(K) × 学生(S)



3 (S):ファッション業界を目指したきっかけを教えてください。

(K):母が自宅で近所の人を集めて編み物教室みたいなことをやっていて。幼稚園の頃から母の脇でごろごろ遊んでいたので、見よう見まねで編み物ができるようになってました。中学生の頃には自分のセーターは自分で編んでたし、高校生の頃には自分で洋服を作ってました。雑誌に載っているような洋服は高かったから。作ることが昔から好きだったんですよね。

(S):高校卒業後、服飾の専門学校に進学されたのでしょうか?

(K):大学は普通の文学部(笑)。美大に行こうかとも思ったんだけど、絵の専門学校とダブルスクールで水彩画やクロッキーを勉強してました。私が学生だった頃は、イラストレーターがすごくはやった時代なので。大学を卒業する時に、服飾の専門学校に進学しようかとも考えたけれど、文化出版局に就職できちゃったので編集者になったんです。

(S):文化出版局ではどんな雑誌や本を作っていたんですか?

(K):「装苑」や「ハイファッション」というファッション誌です。当時はスタイリストがいない時代でしたので、自分で雑誌の特集の企画を立てて、モデルを手配して、洋服を借りて、アイロンをかけて、カメラマンやモデルに指示して、原稿を書いて…全部自分でやってました。

(S):編集者からデザイナーになろうと思ったきっかけを教えてください。

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(K).編集者を10年続けたところで、雑誌より洋服などを作る方が楽しいかなって思ったのがきっかけです。それで、出版社を辞めて製帽の学校に入学しました。私は頭がでかいから、自分でかぶれる帽子がほしかったの(笑)。ただ、学生に戻ってもお金は稼がないといけないから、ファッション紙の編集者時代に培ったスキルでスタイリストや雑誌のライター、あとは昔から編み物ができたから手芸の仕事など、いろんな仕事をしながら学校に通ってました。製帽の学校を卒業したんですけど、帽子ではなくニットのデザイナーになりました(笑)。

(S):どうしてニットデザイナーを選んだんですか?

(K):帽子がはやってなかったし、オーダーメイドで作ると高くなって日本じゃ売れなかったから。昔から編み物はできたので、ニットデザイナーならできると思って。それで知り合いの紹介で、ドン小西さんのもとで、彼のデザイン画をリアライズするお仕事に就きました。当時の彼の作品は全て私が編んでましたね。さらにニットの他にも刺繍とか、こんなこともするの? ってものまで(笑)。

(S):小西さんのもとでニットデザイナーをされていた時に大変だったことは?

(K):東京コレクションですね。デザインのイメージと違うと言われたものは全部編み直したり、海外の作品が上がって来なくて、それを編んだり。小西さんの要望をひとつひとつ確認して、それをバランスよく直す。直しが入った時のために、小さい飾りとかを事前に必要だと思う分の2倍は用意してました。前もって準備しておけば何とかなるって。私は作るのが好きだから、時間がなくて大変だったけど、苦にはならない。「あら、徹夜しちゃった」みたいな(笑)。

(S):どのような経緯でtfacの先生になられたのでしょうか?

(K):小西さんのもとで3年ニットデザイナーをした後は、アパレル企業の契約デザイナーとして、レディスや子供服、靴などのデザインをやっていました。その頃、洋裁の学校から「製帽の授業を担当してほしい」というオファーがあったんです。私も洋裁の基礎をもう一度一から勉強したいと思っていたので、基礎を教わるつもりで学校に行ってみたら…気がついたら15年も先生を続けていました(笑)。その後、tfacからお声がかかって現在に至るという感じでしょうか。tfacで教えるようになってからは5年目になります。

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(S):これまでファッション業界で多岐にわたる活躍をされてきた先生から、アパレル業界を目指す若い世代の方たちにアドバイスをお願いします。

(K):私の場合は好きなことをやり続けて、途中で知りたいこと、身につけないといけないことが出てきたら専門学校に行く。好きなことだから勉強だって苦じゃないし、新しいスキルを身につけるごとに自分の視野が広がって、自分に足りないこと、自分のできることも見えてくる。だから、みなさんにも何でもチャレンジしてほしい! 失敗しても若いうちは何度でもチャレンジし直せるから。ちょっと変わった格好をしても良いし、奇抜な物を作っても良い。それをひとつ超えたところに何か新しいものが見えるんじゃないかな。最近の若い子たちはあまり欲がないように見えます。私は気になったらすぐに見に行っちゃうし、飛び込んじゃうから。好きなことや目指している仕事なんだったら、大きな一歩を踏み込んでほしいですね。

 

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古賀由紀夫先生

ファッション誌の編集者を経てデザイナーへ転身
数々のクラフトコンペティションを受賞し、中でもTVチャンピオンでは手芸王者なるなど異彩の才能を持ち、クラフト関係における世界では国内外で指折りの作家。その造詣の深さについては際立った存在である。 

テレビ東京系『TVチャンピオン』手芸王選手権『チャンピオン!』