~就活室便り#46~ Re-Make/Re-Model
みなさんこんちは。就活室のHANAZONOです。やっと朝晩は気温が下がって
きてだいぶ過ごしやすくなってきました。よく考えたら1か月前は今から10度
くらい気温が高かったわけで、そりゃ辛かったはずですよね。いずれにしろ
さすがにもう関東で酷暑日の可能性はないとおもいますが、それでも毎日の
気温が10度近く平気で違ったりするので注意が必要です。本当に着るもので
調節って簡単に言いますけどこの季節はいつでも難しいですよね。みなさん
お体には十分気を付けて、寒い思いはしないようにお心がけください。とい
っても最近は若い人のほうが厚手に切り替えるのが早いですよね。まだ半袖
で何も羽織らず歩いている人が多い中で、革ジャンやフェイクファーなどを
羽織っているのは決まって若い人です。それはそれ、おしゃれでとてもいい
とは思うのですけど、暖かすぎて汗をかいて逆に冷えないよう、暑くなった
ら脱いだりした方がいいですよ。今日は結構暑いな、と思っても若い人はほ
とんど上衣を脱ぐとかしないので逆に心配になったりします。そういえば私
も若いころは我慢してでもジャケットを着て歩いたこともありました。なん
か最近はそういう忍耐力がぷつんと切れてしまっていて、それだけおしゃれ
するこだわりが減った、ということではないと思うのですけど、ただ我慢す
る気力が失せた、ということだと思います。以前はやはり業界人として暑く
ても早めに冬物に袖を通し、寒いのを我慢して春は薄手を着てたりしました
が、今はとてもそんな気力がないですね。前に当時お付き合い頂いていた某
アパレルの社長さんが朝礼で、「アパレルメーカーの社員たるもの、季節を牽
引するべし。明日からは全員コートを着て出勤するように」、と通達されたそ
うで、次の日から全員10月初旬にもかかわらずウールのコートを着て出勤と
いうことになり、「とにかく暑いんですよ」、とMDの方がおっしゃっていまし
たが、アパレル業界は思った以上にそんな話がありがちです。そのアパレルは
業界では超大手の分類に入るのですが、当然社員数も多く、それだけの人数が
コートを着て一つの駅周辺で歩いてたら結構インパクトあるかもしれませんね。
ウールは別として、つられて綿のコートくらいは着る人が出てくるかもしれま
せん。そんな効果を経営者としては期待する気持ちもわからないでもないです
が、まあただファッションは修行ではないので、気候に即して気軽に、気楽に
楽しんで行きたいですね。
今回は前回に引き続きファッションワールド東京2回目のレポートをお送りし
たいと思います。今回から新たにリユースコーナーができ、ブックオフはじめ
多くの企業が出展していらっしゃいました。中には待っても待ってもお客さん
が途切れないブースもあり全社にお話を聞けたわけではないのですが、お話を
お伺いできたいくつかのブースをご紹介したいと思います。
まず最初にご紹介するのはファッションクロスフルシマさん。元々アジア各地
をはじめ世界各地に工場を展開、生産、検品の大手のフルシマさんですが、今
回は「再販加工」という分野での出展です。アパレルメーカーも無駄は極力省
き、不良品の発生に関しては最大限に注意してはいるのですが、それでも商品
を生産していくうちに何パーセントかの縫製不良、ボタンをはじめとする付属
の不良、試着時に付着した口紅をはじめとする化粧品による汚れ、等々様々な
ダメージは避けられません。ファッションクロスフルシマさんは、アパレルか
ら製品を回収し、そういった不良個所を直し、再販できる状態に持っていく、
という事業を展開していらっしゃいます。今までは製品のちょっとした直しで
もそのために大量の作業が発生し、それが現在直しに本来回るべき商品が廃棄
につながりやすい根拠となっています。シミ、汚れ一つでも商品の下げ札、残
布袋、などの付属物をまず外し、クリーニング作業後付属物再取り付け、プレ
ス等の仕上げ加工、検品再検針、パッケージング、外袋に商品バーコード貼り
付け、梱包、出荷、というよな手間がかかるので、これだけの作業を個別の会
社に外注すると下手すると途中の運賃も含めると結局新しく作ったほうが安い、
というようなことが往々にしてあります。本来ならお直しの各工程を1社ずつに
お願いする場合がほとんどですが、ファッションクロスフルシマさんはすべて
の作業を一気通貫で請負い、従来よりコストを抑えて商品を再販できる形に戻
します。リサイクル、というとたいてい全く違うものに作り替えるとか加工技術
の話になる場合が多いですが、作り変えなくても元の正常なA品の状態に戻す、
というのがコスト、エネルギーからいってもその商品の本来のあり方からいって
も一番正常なあり方のような気がします。手間がかからず低コストで商品の再生
ができるようになると、廃棄ロスがなくなるとともに企業の利益にもかなりの
貢献になるのは間違いない、というのは当然のことですね。作り変えるのではな
くまず直す、これは確かにエコの基本だと思います。何も作り変えるだけがいい
ことじゃあないですよね。ブースの写真もご覧ください。

詳しい工程がパネルで説明されています。各工程を経て再生した製品の写真は以
下ご覧ください。
特に海外生産、海外縫製をしていると、どうしても直し、という作業は切っても
切れないところがあります。蒸気プレス一つにしても、飲める透明な水を使って
やっているのは世界でも日本だけではないでしょうか。そんな海外生産の経験が
長いからこそ日本での直しの技術、システムが進化したのかな、という感想を持
ちました。
直しに出す時点でもう色、柄、スタイルの流行が変わっていて、というようなこ
ともファッション業界では多々あります。そんな時用に形、サイズのリフォーム、
製品染め直し、ということもされていて、どうしてもなおらない修正不可商品は
分解して糸へとリサイクル、という方法も併せて展開されていて、どんな製品で
も、何らかの方法で、何らかのアイテムとしてよみがえらせることができます。
壊して原料にする前にまずなおす、確かにSDGsの原点ともいえる事業だと思い
ます。今後ますますご発展されるといいですね。
次にお伺いしたのはECOMMITさん、こちらもリユースの大手商社です。
こちらは一般からの不用品回収から始めて集まった商品を選別、検品し、でき
るだけそのまま手を加えずに再販する、というのが基本となっています。先ほ
ど紹介したファッションクロスフルシマさんはメーカーからの依頼で商品お直
し、というのが基本でしたが、こちらは一般消費者からの回収、ということが
主たる事業になります。画像をご覧ください。

こんな箱がショップ、ショッピングモールに置かれているのを見たことがある
方もいらっしゃると思います。確認すると、郵便局、ファミリーマート、イオ
ンモール、JUNグループの店舗、等で活用されており、ビームス、ベイクルー
ズ、等、設置アパレル、設置店舗ともに現在増えつつあるようです。基本的に
衣類の回収、というお話でしたが、写真にあるようにぬいぐるみやおもちゃ類
も回収しているそうです。
回収した商品は工場で丁寧に選別、アイテム、状態、等、細かな基準で選別し、
リセールしていく、とのことです。ブランドに置かれた回収ボックスには当然
そのブランドのものがよく集まるわけですから、クリーニング、等の基本的な
加工をした後にブランドに再納品、というようなこともされているようで、そ
ういう服を自らレガシー商品、として販売しているメーカーもあり、とにかく
まず徹底的に捨てない、という方針の元、加工を最小限に抑え商品を循環させ
る、というのはまさにエコの基本中の基本ですよね。古い車を廃棄して新しい
電気自動車やハイブリッド車に乗り換えるよりとにかく直しながら今の車を何
十年も乗り継ぐ、ということのほうが格段に地球に優しいのと同じように、と
にかくなるべく手をかけずに長く使用(再利用すればそれだけ商品の寿命は延
びるわけですから)する、ということが一番地球に優しい道となります。まず
捨てない、長く使う、これに勝るものはありませんが、回収した商品を循環さ
せる、って簡単な話には思えますけども実際に流通経路に乗せ販売していくと
なると並大抵のデータ、知識、ノウハウでは商売として成り立たないと思いま
す。そのアドバンテージがあるからこそ企業として成り立っている、と、いう
どころか、先日イオンタウンが設置店舗を15店舗に拡大、ということがニュー
スになったばかりで、企業として、取り組みとしてどんどん拡大している成長
産業となっています。みずほ、伊藤忠、といった会社が主要株主となり、人員
も派遣している、と、いったらこの商品の循環利用、ということが産業の中で
どれだけの位置を占めるのか、よくわかっていただけると思います。このPAS
STOという回収ボックスの設置、回収は無料とのことで、学校での設置もぜひ、
と、勧められました。こんなシステムがどんどん身近になってくる、そんな感
じがひしひしとしました。今後の動きを注目したいです。
次にご紹介するのは三栄コーポレーションさん。こちらは様々な廃棄されるべ
きものを使いアップサイクルに取り組んでいらっしゃいます。廃棄されるものと
は、1つは漁網、これはもう有名ですよね。それ以外にエアバッグ、シートベル
トの廃棄分を使用して繊維にアップサイクルし、バッグ、等に生まれ変わらせて
います。それが下の写真の商品です。

おもちゃはリサイクルして時計を作り、コットン等の繊維も当然リサイクル、
そして染色も水を使用しない特殊な製法を使い、循環型社会への取り組みは徹底
しています。確かに車が廃車になる場合、鉄、とかはいわれなくてもリサイクル
しているでしょうけどエアバッグ、とかシートベルトとかって、多分廃棄しかし
てこなかったですよね。車全体から見ると少量に見えますが、現在の繊維メーカ
ーの売り上げのかなりの割合を占めるのはエアバッグ関連なんです。使用量は多
いし、婦人服みたいに色や形に流行があるわけでもないので1ロッドの生産量が
大きく、自動車メーカーにとっても繊維ってまったくの異業種で、部品の下請け
みたいに値段をたたくこともなかなかしにくいため、まさしく繊維業界にとって
は利益頭となっているんですが、それをリサイクル、って、ただ単に今まで捨て
ていたところを再利用するわけですからその効果は大きいと思います。また、繊
維は染色の段階で大量の水を使います。水に染料を溶かして染めるだけでなく、
染色後は必ず「洗い」の工程があります。余分な染料を洗い落とし、長時間蒸し
て乾燥、発色させないと堅牢度に問題がある商品となり、ほかのものとこすれて
色が移る(移染)、といった問題、洗濯でほかの服に色が落ちる問題(洗濯堅牢
度)、等々いろんな問題が発生します。これらはほとんどが洗いの工程不足によっ
て引き起こされます(ソーピング不足)。これを、生地を染めるのではなく、糸
を作る段階で専用の染料で染め、仕上げの水洗いをなくしたのがこの三栄さんの
「無水染色技術」です。紡糸っていうと、ものすごい生産量のイメージなのです
が、自社技術、自社設備の改良により、それほど大きくない生産量での展開が可
能になった、とのこと。写真があんまりよくないのですが、以下に写真も載せて
おきます。

すべての繊維が無水染色に対応できるか、といえば現状では難しいところもある
とは思いますが、いずれにしろ水は極限まで使用を控え、廃棄は極限まで避け、
可能な限りリサイクルする、という流れは止まることはありません。現在ファッ
ション産業が環境負荷のかなりの部分を占めている、ということでよく叩かれた
りしますが、例えば綿花の栽培から最終商品の廃棄まですべて問われているのは
アパレル産業だけのような気がします。自動車業界の環境負荷、って言っても製
鉄の段階、合成ゴムの生成、ガラスの生産から全て含めてって
ことではないですよね。それは全て各産業でのカウントになっているんだと思い
ます。そんな観点からすれば、綿花栽培は農業の問題になるのが普通だろうし、
合成繊維は本来化学産業が負うべきものだと思うんですけどアパレル産業だけは
なぜか一気通貫で責任が問われます。今更「アパレル業界にだけそれはないんじ
ゃない?」、って言っても今の時代説得力があるように思えないので、まあとに
かくいろいろ対策してていくしかないわけですけど、三栄さんのように技術革
新で環境負荷を解決していく方法は、これからファッション業界でもどんどん
多くなってくるような気がします。三栄さんはOEM生産だけでなく、自社での
ブランドもどんどん増やしていっていらっしゃるようで、「デザインがいいので
バッグを購入したらリサイクル材料仕様品だった」、というようなことが普通に
なってくるんじゃないでしょうか。サステナブルはもう耐えるものでなく楽し
むもの、という時代になったんだと思います。今後もどんどん注目していきま
しょう。
と、ここまでは企業としての環境の取り組み、という形のものをご紹介しまし
たが、最後は個人レベルでの新しい取り組みをご紹介したいと思います。廃棄
Tシャツを回収し、アクセサリーとして新しい商品として生まれ変わらせてい
る、reTworksをご紹介いたします。
まずは写真をご覧ください。

ちょっとわかりにくいかもしれませんので商品の拡大写真もご覧ください。

お判りいただけたでしょうか。回収Tシャツをひも状に細く裁断し、それを編
み上げてひとつひとつアクセサリーとして仕上げていきます。制作方法は以下
の写真をご覧ください。

とにかく何から何まで手作業です。なんか私から見れば気の遠くなるような作
業なのですが、こういう作業が好きな方、絶対にいらっしゃいますよね。ここ
の代表の有坂さんも多分お好きだからお始めになったんでしょうし、嫌いだっ
たらできることではありません。環境負荷の難しい話よりもTシャツが好きで、
もう着てはもらえないTシャツがかわいそうで、こんなおしゃれな商品ができ
た、というようなことが事業立ち上げの元だと思うのですが、ファッション産
業はただ単なる装置産業ではないので、こんな個人で立ち上げた事業がすごく
素敵に見えたりします。この商品にピンときた方は、当然一緒に生産してくれ
る方を募集されていますし、自分でも違うTシャツのアップサイクル法を考えて
世に問う、という道もあります。こんな新たな試みをどんどん応援していきた
いですね。今回、個人出展ブースは本当に見応えがありました。reTworksさん、
あとは製品のバリエーションをいかに増やしていくか、というところだと思う
ので、その点、今後に期待していきたいですね。
2週に渡ってアパレルエキスポのレポートをお送りしました。前回が「和」が
テーマで、今回はリサイクルがテーマとなっています。今後日本のものを世界
に問う、とかサスティナブルとか、両方とも今後のファッションのキーワード
としては欠かすことのできないものだと思います。捨てない、再利用、アップ
サイクル、これはもう本当に欠かせない価値観となってしまいましたが、従来
のペットボトル再利用繊維は、そのままペットボトルとして再利用すればまた
ペットボトルに出来るのに、それを繊維として加工するのはわざわざリサイク
ルの輪を止めているだけに見えて、そんなエコ看板商売、エコが売れるキーワ
ードになっている商品って、正直言ってあまり興味を持って見てきてはいなか
ったんですが、今回紹介した企業の取り組みを見ると、今までのようにただリ
サイクル原料を使ってます、ていうエクスキューズだけでなく、さすがに本腰
の入った本論になってきたな、と、思います。そしてreTworks さんのように、
とにかく一人でまず始めてみよう、まずはいいデザインのものを、っていうと
ころから始めて行くのが今も昔もファッション起業の正しい道、っていう気が
しますし、自分のアイデア一つで世界に挑戦していく若い方々をできる限り応
援したいと思います。今後もエシカルな取り組みはいろんな企業が、いろんな
観点からどんどん取り組んでいかれることと思います。今後に注目していきた
いですね。
今回も少し長くなりましたが、エコ中心の展示会レポートをお送りしました。
次回はまた別の展示会レポートをお送りする予定です。今度はどんなものに、
どんな企業に出会うのか、ご期待ください。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
11/16に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
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