就活室便り~#32 Parallel Lines ファッションワールド東京訪問記2
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。春もたけなわ、いい季節になりましたね。
昼はむしろ暑いくらいですが、それでもまだ湿度が低いのでさらっとした暑さで助かってい
ます。なんにせよ昼シャツ1枚で過ごせる気候が一番いいですね。1か月前にはダウンを着てて
も震えていた日があったのがうそのようです。こうなるとどんどん外にも出たくなるし、最近
なんとなくさぼりがちだったランもまた頑張りたいと思います。それと昨年夏の骨折以来ずっと
放ったらかしにしている自転車をメンテしてまた少し走ろうと思ってます。とは言いつつ冬の
間に寒くてかわいそうなので外猫用に2軒猫ハウスを置いてしまって家の外にスペースがほとん
どなくなってしまい、作業スペースがあるかどうか心配ですが。まあ少しずつ、いろんな準備を
していきたいと思います。
さて、今回は、ファッションワールド東京の訪問記第2弾をお届けしたいと思います。まず最初は
播さん、兵庫のテキスタイルメーカーです。兵庫県西脇市付近は昔から播州織と呼ばれる綿織物
の産地で、とにかくしなやかな風合いには定評があります。織から染色までほぼ一貫で仕上げて
いられるので各工程管理もしっかりされています。そしてそんなしなやかな風合いの生地を製品
にするための縫製工場も立ち上げられた、とのことで、まさに糸から縫製まで一貫で依頼ができ
る工場、ということになります。今まで糸から製品まで、というように事業を拡げれば拡げるほど
どの事業もうまくいく、ということは難しいのですが、生地では現在ストールの直販もはじめ、
工場は工場で他社の生地でも加工依頼を受け、その縫製技術が評価されているようです。ごめん
なさい、遅れましたが写真でしたよね。
ストールの繊細な織とオンブレーの特殊染は写真でもおわかりいただけると思います。その下の
ワンピースもピンタック組織になっていて、それなのに非常にソフトな生地を使用しています。
普通横畝組織にすると生地が固くなり、ジャケット、等の固いデザインしかできないんですけど
ソフトなワンピースに仕上げるためには糸、織、後加工すべてにこだわっている証拠ですね。
では写真をもう一枚。
こちらは藍染めの製品が並びます。左下にグリーンのマークが見えると思いますが、これはエコ
テックス認証と言って、現在世界中で最も厳しい生地、製品試験といってよく、体と地球に対す
る有害物を最大限取り除いた、という認証で、いずれの国、地域の法律による規制よりも厳しい
基準になっています。
別に苦言を呈するわけではないのですが、かつてはテキスタイルコンバーター、素材メーカー
がアパレルMD,デザイナーに生地を提案、それをMD,デザイナーが各企画、絵型に落とし込み
まずサンプル作成、修正、検討後本生産に入る、というのが基本でした。テキスタイルの企画
は製品を想定して行い、アパレルMD,デザイナーは生地を見ながら最適なデザイン、企画を常
に考え、どの商談も創造的な意見の交換でした。
それがいつごろからか生地を提案してもすぐにデザインに結びつかないアパレルが増え、生地
を売ろうと思ったらまず製品を作って製品提案が先、というようになってしまいました。しま
いにはそのまま製品で受注してしまうようになり、現在の状況は何となく本末転倒というか、
かつての状況を知る人にとってはちょっと寂しいというか、なんというか、という状況になって
います。この播さんも多分そういうところから、生地提案のために縫製を始めたんだと思います。
ところがそういう状況はえてして逆になりがちで現在工場の受注は絶好調らしく、私がお邪魔
している最中も工場の問い合わせはひっきりなしでした。そして、播さんの高級な生地ではなく、
例えば海外から輸入した安い生地を使って縫製だけお願いしたい、という話がほとんどのようです。
たとえどんなに形は変わろうとも企業としては存続が一番ですが、播州織の伝統も今後ずっと存続
してほしいと願ってやみません。細番のしなやかな綿って、本当にいいものですよ。みなさんも
機会があったらぜひ見て、触って、その良さを感じてください。そしてその生地で自分の作るものを
イメージしてください。それが将来のMD,デザイナーへの道を開く一歩に必ずなると思います。
それを2歩、3歩と進めていけば必ずなりたいものになれますよ。とにかく1歩ずつ進んでいきましょう。
次に、次代のアパレルに必要になってくるシステム開発をされている会社を2社紹介したいと思います。
まず最初に紹介するのはAYATORIさん。まずブースの写真をご覧ください。
なんかいつかはできるような気がしていましたが、多岐にわたるMD業務を一貫で行えるデジタル
ツールを開発、運営している会社です。MDは商品の絵型、色を添付したマップを作成し、そこに納期、
発注数量、原材料手配状況、生産進行状況、等細かい情報をシンクロさせていかねばならず、それを
各仕入先ごとに管理し、さらに製品完成後は売上、在庫管理、マークダウン、等の作業を含む利益管理
まで入れると作業は結構膨大なものになります。
このAYATORIというシステムを使用するとこの全ての作業が一元で管理でき、しかも各仕入先、工場と
情報をシェアでき、作業が大幅に効率化でき、情報を共有化できるので認識の違い、ミスは大幅に減ると
思います。人間の記憶はあいまいなもので、どうしても「言った言わない」とか、記憶、認識にずれが
出がちです。そんなすれ違いを防止できるだけでも結構画期的です。それとMDマップって、1回でも作った
経験のある方はお分かりだと思うんですけど結構時間がかかって面倒なんですよね。そんな時間のロスを
減らしていければ余った時間でどんどんクリエイティブな方向に向かっていけるようになり、実際のMDと
しての企画の仕事を充実していけるようになると思いいます。元々新しい企画のアイデアにあふれた人が
実際にMDになってみると各書類や数字、確認作業に追われ、展示会を見て歩く時間も無くなり、市場調査
も当然行けず、結局トレンドが全く分からなくなってしまう、というケースが、本当に多々あるんです
よね。そんな状況から解放され、MDが企画に没頭できるようになればもっともっと面白い企画が世の中に
出てくるようになるかもしれません。そんな効率化を手助けするシステムがアパレル向けに開発された今、
今後に期待したいですね。
次に紹介するのはスクロールインターナショナルさん。まずは写真をご覧ください。
このブースの写真だけを見て何の会社か想像するのは難しいかもしれませんが。生成AIを使って画像を加工
するシステムを運営している会社です。Tシャツを羽織った写真が1枚あるとします。このスクロールという
システムを使用すると、そのTシャツの丈、袖丈、色、柄、等の変更が簡単に行えます。更に無地の素材に
任意の柄、ワンポイント刺繍、等のモチーフのと追加も可能です。元の絵柄があれば複数の絵柄を組み合わ
せてオリジナルの図案を作成することも可能で、また、着用画像、物画像から平絵を生成することも可能です。
商品画像があればそれを自由にモデルに着せることも逆に着用画像のモデル変更も可能です。お客様が自分の
画像を登録すれば仮想試着まで可能になります。そこまでくると今までのデザイナー、スタイリスト、ECの
撮影の苦労はなんだったんだ、という話になりますが、いずれにしろ今までの手間ひまかかった作業が大幅に
短縮できることには間違いなく、またECでの「イメージ違い」、という返品理由も大幅に減ることが容易に
想像されます。仮想試着に関しては現在トライアル中ですが、いずれにしろ実用化、汎用化まではもうすぐ
のところに来ているのは間違いありません。このような新技術は従来のアパレルの仕事に多大な効率化、
リードタイムの縮小、イメージの具現化による企画の精度向上、無駄の削減、等様々な革新をもたらすことは
間違いありませんが、それ以上に新規に事業、ブランドを立ち上げたい方、個人で事業を始めたい方には多大な
メリットがあると思います。ネックになるのはお値段で、やはりこれだけの機能、性能のものだと1アカウント
3桁万円になってしまうそうなのでそうおいそれと事業の立ち上げと同時に導入できるものではない、という
ことですね。それでもこのシステムを導入する企業が増えるたびに値段は少しずつ下がっていくことが予想され
ますし、いずれにしろ時代はこのようなシステムを重用する方向に向かっているのは間違いありません。AIが
人の創造性の分野にとって代わるとは思っていません。AIに任せられるところはどんどん任せて人は人でいかん
なく創造的な仕事を伸長していけばいいと思います。ちょっと心配なのは逆にプロダクトが追い付かない、合成の
写真のみが先行し、ECで注文したは良いが現物は全く生産されていなかった、というようなことはあるかも
しれないなあ、と思います。これからは一般消費者にも一定レベルの審美眼と企業の真贋を見抜く知識が求め
られると思います。逆にある程度の知識と審美眼さえあれば便利で華やかな未来が待ち受けていることは間違い
ありません。これからもお互いにどんどん勉強していきましょうね。
最後にご紹介するのはan mayさんです。上海と東京両方にスタジオを持ち、超細版、レースをはじめとする柄物、
等、特徴的な商品を集め展開されています。まずは写真をご覧ください。
これでもかっていうくらいの超細版のニットの上にカラミメッシュのドレスを合わせています。後ろに見えるのも
ブークレ、起毛、リング糸使い、等特殊なものばかりです。これらを東京でデザインしながら上海の生産チームと
打ち合わせしながら生産、というインターナショナルなブランドです。一見ベーシックでいながらよく見ると非常
にこだわっている、という今はやりのコンセプトでブランドは貫かれています。もう一枚写真をどうぞ。
わかりにくいかもしれませんがニットパンツにデニム柄をプリントし、上に来ている針抜きニットは非常に軽く
薄い素材です。中国生産でいいものを少量から、というのは非常にめずらしい、というか今までにない試みです。
その割に値段もそれほど高くはなく、品質から考えたらむしろリーズナブルといえると思います。ファッションの
基本はみんなと同じものが着たい、というよりはみんなと違うものが着たい、という願望だと思うので、高品質、
少量生産、好感度、これがリーズナブルな価格でできるって素晴らしいですね。パターンがよくわかる方、とか
お仲間になれる方は募集しているそうなのでチャレンジする方はチャレンジしてみてください。中国語ができると
なお良いようです。
今回、ファッションワールド東京で、ハイタッチの極みとハイテクの極みのような両極端の企業の方にお話を
お伺いしてきました。どちらかが正しいとかどちらかが重要ということでなく、どちらの方面も両立していかない
と今後のファッションビジネスは成り立っていかない、ということだと思います。あくまでもハイセンス、
ハイタッチ、というような価値観を大切にしつつも無駄は無駄で極力省いていく。美術品を作成するのではなく、
あくまでも価値のある商品を作成し、その成果は売り上げでしか評価されない、というのはファッションビジネス
だけでなくすべてのビジネスに共通することです。自分の価値観、感性を商品を通じて共有していくこと、そのため
の手段、ツールは毎日の技術革新でどんどん揃いつつあり、それを活かしてより感性に、品質に、着心地に、こだ
わっていける時代が近づきつつあり、そのために新しいツールも情報もどんどん使いこなしていきましょう。
前回と2回にわたってファッションワールド東京のレポートをお届けしました。印象として出展者の9割が中国企業
かな、という感じで、しかもアパレルメーカーの出展がほとんどなく、日本のファッション産業やファッション合同展
の在り方について考えさせられるところが多い、というのが会場を見ての第一印象で、入場した時にはまさか2回にわた
ってレポートをお届けすることになるとは全く思ってもみませんでした。それでも各ブースを廻り、いろいろお話を
お伺いしていくうちに話がどんどん膨らんでいきました。やはりファッションが好きで、こだわりがあって、ファッ
ション業界で頑張っていらっしゃる方とのお話は楽しいものです。ファッション業界、いいですよ。みなさんが就職
してこの業界で活躍してくれるのを心待ちにしています。そのためにこれからも皆さんに少しでも参考になる情報を
伝えていきたいと思います。
次回はまた展示会の情報をお伝えする予定です。また面白いお話をお伺いできたらいいな、と思っています。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
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