~就活室便り~#33 Live and Let Dye 内田染工場様訪問記 | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

~就活室便り~#33 Live and Let Dye 内田染工場様訪問記

~就活室便り~♯33 Live and Let Dye 内田染工場様訪問記

 

みなさんこんにちは、就活室のHANAZONOです。日中はだいぶ暑い日が増えてきて、
やっと体調も上り調子ではありますが、普段なら4月末には収まるはずの花粉症が収ま
りません。何の花粉かあるいは黄砂か正体が何かは知りませんがとにかく何かが舞って
います。幸か不幸か花粉用の薬が以前某サイトのセールで激安だった時に買いだめして
あったのでその点は助かっているのですが、今年になって1月からずっとこの調子なので
とにかく長いですね。これからは日焼け対策をしっかりしてマスクの跡がつかないよう
に気を付けたいと思います。気付かないうちに顔が2色になってたら、ちょっと、ですよね。

 

いずれにしろ気候が非常に良くなったことは事実で、これくらいの気温で、湿度も低く、
半袖に何か羽織るものが1枚あれば過ごせる、というこの季節は一番気持ちのいい季節だ
と思います。季語としても使う薫風の候ってまさしくこの季節、という感じがして、語感
としても風薫る季節、っていいですよね。なんだか意味もなく街を歩いてみたい気になり
ます。

 

だから、というわけではありませんが、今回、学校から一番近い距離にある染工場、
内田染工場様に学生と一緒にお邪魔し、講義と見学をさせていただきました。今回はその
レポートをおおくりしたいと思います。

 

内田染工場様は小石川植物園のすぐ近く、文京区白山の地に会社を構え、今年で創業110年
という歴史を持つ、老舗の染工場です。「東京」、「染工場」で検索すると確認できる企業数は
10数件、そのうちの和装用の小ロッド染、見学用施設を除けば工業用染色を行っている企業は
ほとんどないと言ってよく、そんな環境の中で116年の歴史をほこり、現在なお順調に事業を
続け、海外展示会にもご出展され広く海外にもその販路を拡大させ続けているご努力には頭の
下がる思いがします。もともとは呉服用の糸染めからはじめ、昭和初期から靴下の染を始め、
現在は製品染めを中心として様々な特殊加工、染色をされています。時代時代に合わせてその
取り扱い製品、加工方法を変え、新しい技術、手法を絶え間なく導入し続けて来られたから
こそ現在があるのだと思いますが、その一端でも学生たちに実際に見て、感じてもらえればと
思い今回の見学を企画しました。

 

お伺いして、まずはショールームで会社、製品、技術の解説をしていただき。その後、工場の
現場を見学させて頂きました。まずはショールームでの学生たちの様子をご覧ください。

プロジェクターを見ながら内田社長からの説明をお伺いします。ビデオ説明が約15分、その後
PowerPoint資料による説明が約1時間、お話をお伺いしていくうちに、ここで手がけた製品が
アンダーカバー、コムデギャルソンをはじめとして様々な有名ブランド、道の名前の付いた
メンバーの多いアイドルグループや来年の解散を表明した国民的アイドルグループ等の衣装に
使用され、パリコレやコンサートのステージを飾っているところを解説していただき、皆興味
津々に説明に聞き入っていました。

普通の無地染めでも、パリコレ出展ブランドが染色を生地メーカーに発注してもその微妙配色
を表現できず、結果内田さんに白生地持ち込み、超短期納期で何とか助けて欲しい、という
駆け込み寺のような注文が結構多いそうで、行きも帰りもバイク便、というのは日常茶飯事と
まではいかなくとも結構普通のようです。デザイナーからの指示の色はその布で染めたものから
依頼が来る、ということはまずなく、他の混率、違う織組織の素材から出てくるのは当たり前、

それどころかパントーンをはじめとする紙、等での指示の場合が非常に多く、織組織、混率に
より発色の違う生地にその色を合わせるのはなかなか大変な作業で、染料調合士の腕の見せ所
でもあるのですが、一番難しいのはデザイナーがこの素材でこの色味をつけたらこう見える、
という頭の中のイメージに合わせる作業です。内田染工場様では指図色をコンピューターで
読み取り自動で染料を調合するシステムを導入されていて、その再現度は非常に高いようです。
ご説明の際にそれプラス微修正、とおっしゃっていましたが、その微修正が一番大切な技術
なんだと思います。特に中間色とかはちょっと配色が違うとデザイナーさんからかなり嫌われ
る色になりがちです。その点、いろんなブランドのデザイナーの方々と感性を合わせておく
のも重要な作業で、毎日のようにいい色、いい感性の製品に触れ、それと自分の配色感性との
すり合わせができていないとなかなかデザイナーさんに納得して頂ける色に仕上げるのは難し
いものがあります。配色指示と生地が同時に着いてそれを1日2日ですぐ染めて出荷、それで
何回もリピートオーダーするお客様が多い、ということはその技術、ノウハウ、感性の今まで
の積み上げがすごいものがある、ということだと思います。私も今まで様々な商品の色出しを
してきましたが、これ、本当に大変なんですよ。私はもうその色出し、配色作業はこれから
やる予定はありませんが、デザイナー、MDを目指す方はこれからどんどん苦しんで、いや
楽しんでください。

 

下の写真はそんな染サンプルがずらっと並んでいるところです。

 

ちょっと見にくいですが、グラデーション、絞り染め、板締染、等の製品サンプルがずらり
と並んでいます。こんな製品を染めている現場を見学させて頂きました。

内田社長の解説を聞きながら各種染色機械に見入っているところです。百聞は一見に如かず
で、実際に見るのと聞くのは大違いで、まさにこの見学がいい体験になったと思います。

 

染色機は染方法、数量によって様々な機械、大きさがあります。地方の生地専門染色工場に
行くと、超大型の機会がずらりと並んでいますが、ここでは小ロッド対応が可能になる
比較的小さめな染色機が中心となります。下の写真をご覧ください。

下の写真はちょうど赤系の製品を染めているところです。高温で染め、その後蒸すことで
染料を定着させます。

熱された染料の匂いって、特別なものがあります。昔は丸3日染工場巡り、というような
こともざらだったので、何とも懐かしい匂いです。いずれにしても環境問題、近隣住宅への
配慮、等からだとは思いますが、匂い自体は昔よりだいぶ控えめです。排水に関しても水質
だけでなく、温度管理も徹底して行い、40度以下に温度を下げてから排水しているそうです。
また、冷却時にその熱エネルギーを再利用し、次回の染色時に再利用しているそうです。

 

 

下の写真は板締染で染め上がった製品を蒸し、乾燥しているところです。板締染というのは
製品を折り曲げ、上下から板で挟んで万力で締め上げ、そのまま染色すると、板で締め上げ
た部分は染まらず、他の部分は染め上がり、柄になる、という手法です。一番手前に茶の
四角い柄のシャツが干されています。そのシャツの下に丸い形の木が3枚ほど積みあがって
いるのが見えます。これが丸柄の板木になります。ただ板を挟んで染色機に放り込むのでは
なく、その板で挟んだ際を注意しながら手染めし、柄の際の滲み具合を調整しているとの
こと。同じように染めても一点一点微妙に違う、世界で1枚の商品になります。

 

ちょっと見にくいかもしれませんが水槽の中に入っていて振動を与えられているのは
ビーカーです。この中に染料と小さい生地が入っています。新色に関してはいきなり染色機
で染めるのではなく、必ずその縮小版のビーカー染をして色確認後に進行します。この段階で
色確認、微修正をし、本番での色ブレがないよう確認しながら進行します。

各種染料が整然と並んでいます。染料の入った瓶の上に管が伸びているのが見えると思います。
一度データが取れているものはこの各種の染料を使って自動調合が可能です。新色に関しても
コンピューターに読み取りさせ、そこから自動調合は可能ですが、前の写真のようなビーカー
確認と微修正は必須となります。

こんな感じで工場見学させて頂きました。たとえどんなにコンピューターを導入、機械化して
いっても結局熱と水の世界であることに変わりはありません。フロアが濡れているのも各写真
で分かる通りです。いらっしゃった職人の方々も当然長靴、前掛けは必須でしたし、ただ
事務所でスーツを着てこなせる仕事でもありません。当然夏の暑さは推して知るべしです。
それでもお話をお伺いすると、社員の平均年齢は約40歳と若く、美大出身者、服飾系の学校
出身者が多いようです。中には学生時代にやはり工場見学をさせて頂き、数年後にその時の印象が
忘れられず入社、という方もいらっしゃるようです。群馬県桐生市の桐生織物協同組合にお邪魔
した時にも、結構若い方の就職希望が多く、中には1部上場企業の商社から転職された方もいる
そうです。理由は本物を作りたいから、だそうです。それだけものづくりにこだわる方、伝統技術
を継承し、未来につなげていきたい方、自分の価値観を表現していきたい方が、増えているか
どうかはわかりませんが大勢いる、ということだと思います。

染色も織りも芸術作品ではなくあくまでも工業製品で商業ベースに乗ることを目指しています。
それゆえ自分の独りよがりの価値観ではなく、社会にも、時代にも左右され、そんな時代の、
社会の声を聴く、ということが必須となります。社会に、時代に、自分の価値観が認められた
ことの証明がヒット商品の証しということだと思いますので、仕事上の成功が直接人生の成功感
につながります。本当に自分のつくった商品が人に認められ世に認められ、街でその商品を着て
いる人に会う、というのは本当に忘れられないもので、それがこのファッション業界の最大の
魅力で、それゆえこの業界に一度入るとなかなか抜け出せない理由でもあります。かくいう私も
そうしてこの業界にとどまり続けています。今でも自分が企画したコートなりジャケットなりを
着ている方を街で見かけることがあり、うれしかったり、当時の苦労を思い出したり、いろいろな
感情が沸き上がります。自動車メーカーで車1台一人きりで企画してしまったり、薬品、建設、等々
どんな業界を考えても自分ひとりで企画する、なんてことはあまりないですよね。そんなものづくり
の魅力の一端でも、学生たちが今回の見学で感じてもらったらいいな、と思います。今すぐじゃ
なくても、5年後でも10年後でも伝統技術を継承しながら新しいものづくりに活かしていく、
そんな人が一人でも二人でも出てきてくれたらな、と思います。アパレル業界のものづくりは
毎年春、夏、秋、冬、と最低でも4つのシーズンを考えていかねばならないのでこんな大変な
稼業はなかなかほかにないです。私も前に企画をやっていたときは朝から晩まで色柄のことを
考えていたことがありましたが、辛いことは辛かったですがやっぱり楽しかったですよ。そんな
楽しい職業を今後もどんどん紹介していけたらと思います。

 

今回は内田染工場の内田社長をはじめ、全社員の方には大変お世話になりました。この場を
お借りしてお礼を述べさせて頂きます。また、学生たちにそんなものづくりの場を見学させて
頂ける企業様を募集しています。ご連絡をお待ちしております。

 

次回はまた新たな展示会レポートを予定しています。また新たな出会いがあればいいな、と思います。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

6/1に開催予定です。

 

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