~就活室便り#50~ If There is Something
~就活室便り#50~ If There is Something
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。都内ではやっと
いちょうが見ごろになってきましたね。もみじの赤もきれいですが、
いちょうの黄色は明るくて、なんか風景が黄金色になったようで華
やかな気分になります。いちょう並木を歩いていていつも不思議に
思うのがそのうち1本だけ緑だったり、すぐ隣なのに全然色づきの
スピードが違ったりすることです。育成場所が全く離れてしまえば
諸条件が違ってくるので納得は行くのですが、隣同士なら別に一緒
でもいいのにな、と、思うのですが、一本だけぽつんとちがったり、
そんな光景、結構目にしますよね。理由は個体差、その時の木の健
康状態の差、だそうです。接ぎ木で育てた木には個体差はなく、全
て同じように色づくらしいのですが、種から育てた実生苗だとどう
しても個体差が出てくるらしいです。もしこれからいちょう並木を
歩いているときに1本だけ色の違う木を見つけたら、「これは種から
育てた木だね。見て直ぐ分かったよ。」、とかいうとなんかパートナ
ーに自慢できるかもしれません。ちょっと小ネタかもしれませんが、
覚えておいて損のない知識かな、と思います。接ぎ木だけのソメイ
ヨシノは同じ気温条件だったらいっぺんに咲きますもんね。とまあ
季節が結構順調に進んでいる、というお話でした。もともと秋って、
寒かったり暖かかったりする移行期の不安定な季節なんですよね。
安定して寒くなったらそこからが冬で、多分不安定な秋を懐かしむ
感情にあふれるような気がします。冬、やはり安定して辛いですよね。
そんな季節の変わり目に結構展示会が頻繁に開かれています。今回
はあまり就活向きでない展示会、ちょっとファッションから離れた
展示会を紹介していきたいと思います。まずご紹介するのはアジア・
ファッション・フェアで、2003年より年2回、東京と大阪で開催さ
れています。もう10年以上続いている歴史ある展示会で、名前はア
ジア、ということになっていますが、一般社団法人日中経済貿易セ
ンターの協力によって行われ、というか要は主催者の立場に立って
いますので、中国メーカーがほぼ100%、その資本のアジア工場
(インドネシア、ミャンマー、等)が少しあるかな、という感じで
す。アジアの繊維産業でいえば韓国や台湾は欠かせないはずですが、
その地域からは1社の参加もありません。それでも実際に繊維製品
の約6割は中国からなのですから参加国が少ないことが大した問題
にはなってはいないことはこの会場の盛況ぶりを見ていても明らか
です。皆さんのご存じのメーカーは当然1社もなく、新卒で挑戦でき
るような会社も1社もありません。しかし、アパレル業界で生きて
いく限り、これから中国企業との付き合いは欠かせぬものであり、
かなり近い将来に中国工場担当としてお付き合いが始まらないとは
限りません。その予行演習としてもまずこれから紹介するこの展示
会の様子を見ておいてください。
それではまず写真から見てみましょう。

会場入ってすぐのところに一応このようなコンセプトテーマのよう
な展示があります。その展示の写真をもう1枚どうぞ。

カシミヤとか獣毛混の素材があるぞ、ということと大人から子供服
まであるぞ、ということだけわかります。前回ご紹介した東京テキ
スタイルスコープのように展示会としてのテーマ、コンセプト、テ
ーマカラーがあるわけではありません。トレンド分析、等そういっ
たコーナーは一切ありません。入場後は以下の写真のようにただた
だ商談ブースがずっと並んで行きます。

中国の企業のブースは世界中どこにいってもこのような作り、すな
わち装飾、見た目には一切お金も創意も使わず、ひたすら大量に商
品を陳列、というやり方です。この中で良い商品を探して行くのは
まさしく砂漠でダイヤモンドを見つけるような大変な作業で、バイ
ヤーが限られた時間で必要な商品をバイイングしていくのはそれだ
け才能と経験がいる、ということだけ覚えておいてください。こん
なブースがとにかく多く並んでいる、ということが下の写真でもお
わかりになるかと思います。

こんな感じで400社以上の出展があり、来場者はそこから自分の欲
しいものを探して行きます。各ブースを廻って縫製技術、素材、等
を確認していくわけですが、それではその各ブースにある製品サン
プルはどこの企画で誰の企画だ、ということになるとこの400社の
中で自社でデザインし、製品化しているところはまったくゼロとは
言いませんがまずほとんどありません。世界中のアパレルが中国の
工場に生産を依頼しており、その生産のためには当然パターンを工
場に送らなければなりません。ということで、そのパターンを使用
して生地を変えたり、付属を変えたり、としながら自社企画として
製品を作っていても誰にもわからないという、それが中国生産の最
大のデメリットと言えます。私もかつて中国の工場に次シーズンの
サンプルを依頼し、その1か月後に中国の合同展を訪問したら数件の
工場からその新作のサンプルが出ていました。そのように他の工場
との機密保持、という概念もなく、生産を依頼されたパターンを他
の工場に売り渡す、というのも結構普通に行われています。某アパ
レルが中国の工場でサンプルを作成し、展示会を開き受注を集めそ
の本生産をしたところ、その製品が店頭に並ぶ前に他社から同じ型
がしかも安く出回っていたそうです。そんな話を数件からお伺いし
たことがあるのですが、パターン、つまり設計図を工場に渡す、と
いうことはそういう危険性を常にはらんでいる、ということをきち
んと念頭に置いておかねばオリジナルの商品作りは難しい、という
ことになります。日本の工場でしたらまず物理的に距離が近く、い
いうわさも悪いうわさも早く伝わりやすく、悪い工場は取引停止に
していけばそんなに大きな問題にはなりません。それがあの広い中
国で、しかもそのパターンをコピーして他の会社に売り渡していた、
なんて言ったらもう完全にチェックのしようがありません。パター
ンの複製が容易な分だけファッション業界ではオリジナルデザイン
を少なくとも1年は他社からは出させないようにする、というために
はかなりの労力、神経を使わなければなりません。他業種まで視野
に入れると多分、秘密保持の点において最上位に入るのは米アップ
ル社だと思います。それでも新製品が出る前にその型見本は広く流
布し、発表前の機種のカバーがどのサイトでも大量に掲載されてい
ます。アップル社でもチェックしきれないのにまず常駐の社員を依
頼工場に置く可能性が100%ないアパレル業界では型の流出は防ぐ
ことができない、ということが前提にならざるを得ません。この展
示会会場のほぼ全てがどこかのアパレルが依頼したサンプルが陳列
され、それが「自社制作品」、という名目で販売されている、とい
うのが、これは事実としか言いようがありません。
その代わり、そんな陳列なので、中国企業の展示はまとまり、統一
コンセプトというものが一切なく、つまり、展示会としての見た目
は全くいいところがなく、来場者はまさしく砂浜でコンタクトレン
ズを見つけるような忍耐をしいられます。普通のセンスの方だった
ら、とにかくぱっと見全然よくないし見るもの何もなかったね、で
終わってしまいます。そして一部のコンタクトレンズを見つけるた
めに歩いて、すべてチェックして、これができるんだったら自社の
製品ができるだろう、と、見極めをつけ交渉を粘り強く続けていく
会社だけが中国生産の、国内と比べて圧倒的に価格競争力のある商
品を作ることができます。とにかくこの粘り強さだけは本当に欠か
すことのできない資質となります。次の写真をご覧ください。

このパンツが3.99ドルです。日本円で600円ちょっと、といっても
輸入諸経費を入れると1000円近くにはなってしまうと思いますが
、日本ではそれでは生地代にもなりませんし工賃にもなりません。
ひょっとしたらファスナーを含む付属くらいは買えるかもしれま
せんがいずれにしろいくら何をやってもこのプライスを日本で生
産するのは不可能です。コストどころか彼らはこれを販売して利
益が出るわけですからちょっと生産コストとしては信じられない
金額です。中国生産、絶対安いです。思ったより生産納期も早く、
品質も毎年向上していく、そして中国のいいところは生地、ファ
スナー、ボタン、裏地、等すべて中国内で揃うことです。他の国
では特に生地、付属がそろわない、等と結局日本から発送する品
目が増えるごとにコスト・メリットは減少していきます。それと、
他のアジア諸国と比べて物理的距離の問題でも中国の優位性は変
わりません。いずれにしろ値段勝負では勝ち目はないので日本製
はその日本で作った技術の素晴らしさ、素材の素晴らしさ、等を
きちんとアピールしていかない限り生き残る道はありません。か
つてとあるセレクトショップの社長が、「今まで日本の店頭では、
その商品がいかに売れているか、いかに安いか、ということしか
お客様に説明してこなかった。その服を着たらいかに楽しいかを
10年以上誰も説明してこなかった。その10年の報いを受ける日が
きっと来る。」、と、おっしゃっていたのを思い出します。70年代
までは日本のファッション産業は本当に鎖国状態でした。特に90
年代以降は海外ブランド、輸入品の勢いは止まらず、しかも農業
と違って服には高率の関税をかけて国内産業を守ろうなんていう
国、経済界の働きかけも全くありませんでした。今後も国からの
補助金、等は全く期待できない業界なので自分の力で頑張ってい
くしかないのです。安く作るものとその良さをアピールできる高
価格のもののバランスをうまく取りながら進めていかなければな
らず、企画も経営もやはりかなり難しい問題を解決し続けていか
ねばなりません。この業界の人、みんなで頑張っていきましょう。
以前書いたと思いますけど、中国企業も一時期は国の補助金目当
てで海外展示会に出展、ろくに商談もせず、ブース内で飲食を続
け、展示会クローズ時間前にブースを閉め、観光に勤しんでいた
頃と比べると、商談、勧誘はどこでも真剣で、それが中国国内の
景気の悪さを如実に示していると思います。そんな中国企業と有
利に取引するチャンスが今だと思いますし、来場者がうまくコン
タクトレンズを探し当ててくれたらな、との思いで会場を後にし
ました。
同じ東京ビッグサイトの別会場で「ジャパンテックス2025」とい
う展示会が開催されていて、こちらは翌日にお伺いしてきました。
こちらは何の展示会かというとカーテン、壁紙、カーペット、等
の室内装飾の展示会です。最近、カラーコーディネート、等の技
術の評価から住宅関連企業からも当校にお声がかかるようになっ
てきました。そういう意味で一度室内装飾関係の展示会を見てお
きたかったのと、以前からカーテン業界は婦人服地の数倍プリン
ト織物を取り扱っていて、プリントの図案家もカーテン業界を頼
りにし、良い図案を買おうと思ったらまずインテリアの展示会に
行く、というプリント企画者の隠れた図案探しの方法を思い出し
たからです。結論から言うと図案販売はなかったのですが、カー
テンの製品になった生地には良い柄が多かったです。展示会の写
真をご覧ください。

これは美術系の学校の学生のインテリア用デザインコンペティシ
ョンの風景です。美大、専門学校、高校、と様々な学校からエン
トリーされています。次の写真をどうぞ。

先ほどのように布の形になったものや、インテリア全体となると
このようなパネルでの参加となり、この業界のすそ野の広さを感
じます。
その他各種撮影してきましたが、どこまで公開していいのかわか
らないので割愛しますが、大阪万博迎賓館に陳列されていた川島
織物のタペストリーは行列のできるフォトスポットとなっていま
したし、各社ブースのカーテンはやはり優れたプリントが多かっ
たと思います。住宅関連会社、工務店、等を中心に商談もだいぶ
盛り上がっていましたのでどこでもあまり長くお話をお伺いでき
なかったのですが、1件、ライムライトさんだけ来客の空白があっ
てお話をお伺いし写真も撮らせていただきました。ブースの入り
口はこんな感じです。

基本的には壁紙のプリントなのですが、衝立、間仕切り、等用に
アクリル板にもプリントをされています。画像をご覧ください。

結構幻想的というか、ライティングでかなりの雰囲気が出せるよ
うです。水玉をはじめとするミニマルパターン柄やチェック、等
が多い印象ですが、柄の大きさ、リピートにも制限がないようで、
結構な柄数の商品を展開していらっしゃいます。確かに壁紙を無
地にこだわる必要はないわけで、むしろ柔らかい配色の柄の方が
落ち着いた雰囲気を醸し出せるかもしれません。数冊にもなるデ
ザインブックも見せていただきましたが、そんな柄のデザイナー
を目指す方が当校からもいつ出てきてもおかしくはないと思うの
でみなさんもいろんな業界にアンテナを立てていろんなものにご
興味を抱いていただけたらと思います。
さすがにインテリア業界だけに会場に敷いてあるカーペットは柔
らかく、歩き心地抜群でした。この写真で少しわかりますでしょ
うか。

カーペットとともに写真に写っている機械はミマキエンジニアリ
ングのデジタルプリント捺染機で、一千何百万の値札が付いてい
ました。高いですがこれ1台さえあればどんな柄でもプリントする
ことができるのでそれを考えれば高くはない、というところでし
ょうか。今回はカーペットの写真を見て頂きたくて載せただけな
ので機械についての話はまた今度したいと思います。ここで使用
したカーペットは展示会閉幕後すべて裁断、リサイクルして新し
いカーペットに生まれ変わるようです。それにしてもその歩きや
すさは前日の展示会場とは大違い、まさに餅は餅屋でした。いず
れにしろインテリア業界もう少し学ぶ必要がありそうです。
今回2つの展示会のレポートをお送りしました。一方は誰に対す
る苦言だかわからないような内容になってしまい、もう一方は
ちょっと不慣れな場からの不慣れなレポートになってしまい、
ちょっとまとまりに欠けたかもしれません。いずれにしろ今後
は日本だけのことを考えているわけにはいかず、他業種に関し
ての関心ももっていかないとなんかどんどん世界が狭くなって
行くばかり、という認識を少しでもお持ちいただけたら幸いで
す。それだけの注意を払っていくと本当に情報過多でどうやっ
て整理していくのかっていう問題に突き当りますがまあ、ある
程度は慣れるしかないと思っています。いずれにしろたとえ国
内でだけの仕事をしていても海外とのつながりを常に考えてい
ないといけないし、どんどん情報は集められるだけ集めていか
ないと国内限定のせまい業界の中でも生き残っていけない、と
いうことは明らかです。とにかくいろんなことに興味を持って
いきましょう。そんな対象の一部だけでも皆さんに紹介し続け
ていけたら、と思っています。次回もまったく違う業界のレポ
ートをお送りしたいと思います。
ではまた。
HANAZONO
スタイリスト・デザイナー・衣装制作,MD,パタンナー、EC担当、アパレル販売職の就職はtfac
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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
12/21に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
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- 2025年12月05日
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